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第13話
新しい屋敷は俺ひとりには広過ぎる上、用意されていた家具も宿舎に置かれていたものよりずっと豪華だった。
「ホント……すごく広いね」
「こんなに広い家を与えられてもな……」
ふたりでも余裕で座れるソファに腰掛け、辺りをぐるりと見回す。
平屋の家は、今いる広い部屋の他に浴室と寝室があり、そこに続くドアが見えた。
「さっきの話の続きだけど、オレにとっての幸せがミーシャといる事じゃないと思ったって……何でそんな風に考え
たの?オレにとってミーシャといられる事が何よりの幸せだって、分かってなかったの……?」
「それは……」
その青い瞳に涙が滲んでいくのが見えた。
アレクサンドルは俺の両肩を掴むと、俺をまっすぐに見つめながら言った。
「オレは、ミーシャがオレの気持ちを知ってて一緒にいてくれてるんだと思ってた。オレ、学校に入った時からずっと、ミーシャの事が好きだよ。だから卒業して一緒に騎士団に入れて、一緒に戦えてすごく嬉しかったし、分隊長になってミーシャの隊から離れる時はすごく悲しかった」
「アレクサンドル……」
その涙に、俺は堪らずピンク色をした唇を奪ってしまっていた。
アレクサンドルの身体を抱き締めながら、柔らかな感触を確かめるように何度も口付けては離す行為を繰り返す。
「……俺も……ずっとお前だけを見ていた。お前がいたから、今の俺がいるんだ、アレクサンドル」
長らく温め続けてきた想いを口にし、もう一度アレクサンドルに口付ける。
「そっか……良かった、お互い言わなかっただけでずっとお互いを好きでいたんだね」
瞳に涙が残っていたが、アレクサンドルは笑顔を見せてくれた。
「ミーシャ、好き、大好きだよ」
そう言って抱きついてきてくれた彼を、俺は受けとめていた。
「……サーシャ……」
初めてその愛称を呼び、美しい髪を撫でさする。
「ずっと俺の傍にいてくれ、サーシャ。ここで一緒に暮らそう」
「うん、ずっとミーシャの傍にいるね……」
俺たちは再び唇を逢わせていた。
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