17 / 26

第17話

俺とアレクサンドルの関係はすぐに知れ渡り、俺はアレクサンドルを想う連中から妬みの言葉を向けられる時もあった。 が、俺は平気だった。 アレクサンドルさえ俺を想っていてくれたらそれでいいと思っていたからだ。 戦いがない限り俺たちは一緒に暮らし、離れる事なく穏やかで幸せな日々を送った。 そんなある日の事だった。 「南方に遠征?」 「うん、隣国がこちらの城をひとつ制圧してしまったからそれを取り返しに行く事になったんだって。オレの隊以外にも声かかってるって聞いてるけど、ミーシャのところは違うのかな?」 「うちはまだだ。だが、戦況によって増員……という事は有り得る話だ……」 アレクサンドルの南方遠征が決まった。 何故か分からないが、俺は胸騒ぎがして、いつも以上に行って欲しくないという気持ちになっていた。 「気をつけろ、絶対に無理するな。南方は暑さとの戦いもある」 「ん、ありがとう、ミーシャ。大丈夫だよ。絶対無事で帰ってくるから」 抱き締めた身体がいつもより冷たいような気がした。 「ミーシャ、そんなにギュッとされたら痛いよ」 「あぁ……済まない……」 どうか。 どうか無事で戻ってきてくれ、アレクサンドル。 その夜、俺はそう祈りながら彼の身体を抱き締め、眠りについていた。

ともだちにシェアしよう!