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第19話
「オレにウソついたんすね、ミーシャさん」
会って開口一番に言うと、イヴジェーニは俺を睨みながら言った。
「オレのミーシャがそんなに簡単に本音見せる訳ないじゃん。ジェーニャが図々し過ぎただけの事だと思う」
その間に入るアレクサンドル。
『オレの』と言われ、俺は内心、すごく嬉しかった。
「サーシャさん、最近オレにめちゃくちゃ冷たいっす!」
「そう?でもジェーニャは甘やかすと調子に乗るから今くらいがちょうどいいかな、って思ったんだけど」
その笑顔は、愛らしさいっぱいであると同時に人を惑わせるものだと俺は思ってしまった。
「お、オレ、絶対諦めませんから!覚悟してて下さい、ミーシャさん!!」
「はいはーい、頑張って!!」
俺の代わりに答え続けるアレクサンドル。
イヴジェーニはそれを悔しそうにしながら受け止めていた。
「ジェーニャも諦めが悪いよね。オレたちの仲、暗黙の了解みたいになってるのに」
イヴジェーニがいなくなっても、俺たちは厩舎で馬の世話を続けていた。
「それだけお前を大事に想っているといいう事なんだろうな」
「有り難いけど、オレはミーシャがいてくれたらそれでいい。他になんにも要らない……」
厩舎を出る前に、アレクサンドルは俺に抱きついて口付けてくれる。
「それは……俺も同じだ……」
戦場に赴いている今、いつまでこうして一緒にいられるのか分からない。
アレクサンドルもそれを分かっているからか、俺たちは強く抱き合っていた。
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