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第20話
夜明けを狙って攻撃を仕掛ける、という作戦が組まれたのは、夜闇に紛れて降伏者が城を脱出し、残っている人間はごくわずかという情報を得て間もなくの事だった。
その作戦には俺とアレクサンドルの隊が任務にあたる事になり、他の部隊も後方に布陣し、数の上ではこちらが圧倒的有利な状況だった。
「楽勝っすね!」
「ジェーニャ、そういう奴が一番先に戦死するからマジで気をつけろよ」
山頂にそびえる城には一本道しかない。
俺たちは闇の中を少人数で移動し、その気配を消すよう心掛けた。
霧が多かったお陰で気づかれる事なく城まで進入すると、俺たちは総攻撃を仕掛ける。
「一番乗りはオレ、アレクサンドル隊のイヴジェーニが頂いたー!!」
先鋒である俺の隊を抜き去り駆けていくイヴジェーニ。
大丈夫なのかと思うが、こういう奴が士気を高める事もある。
「アレクサンドル隊に遅れをとるな!!ミハイール隊、前進しろ!!」
俺も自ら前進しながら隊に指示を出し、それに合わせて進軍を知らせるラッパの音が鳴り響いた。
門番もなく我々の侵入をあっさりと許しているという事は、城内またはその手前までしか兵士を配置出来ないほどの兵力しかない。
俺の隊に続き、アレクサンドルの隊も進軍のラッパの音を鳴らし、前進してくる。
城まで来てようやく兵士の姿を見つけたが、それもほんのごくわずかで、我々の勝利は確実かと思われた。
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