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第22話
遠征は終了し、ほとんどの騎士が国に帰国した。
俺は新しく城の守りに就く騎士たちとアレクサンドルを看護する軍医、そして彼が意識を取り戻すまで残りたいというイヴジェーニと共に残り、城の再建に協力しながらアレクサンドルの回復を待った。
「オレ、傍にいたのに何も出来ませんでした」
大切な人を目の前で傷つく姿を見たのが余程ショックだった様で、イヴジェーニはいつもの明るさを失い、食事もほとんど食べる事もなく痩せ細っていた。
「一瞬の事だったんだ、仕方ない」
どんな言葉を掛けても彼は納得しないだろう。
そう思ってしばらく声を掛けずにいたがこのままでは彼が死んでしまうと思い、何とか生きようという気持ちにさせたくて俺は言った。
「……仕方ない?アンタ、それ本音で言ってんすか?オレのせいでサーシャさんは死ぬかもしんないんすよ?なのに、どうしてそんな平気な顔していられるんすか?」
アレクサンドルの事故から死んだようになっていたその茶色の瞳に生気が戻り、怒りという感情が宿る。
「……信じているからだ。アレクサンドルは俺との約束を必ず守ってくれると……」
俺は、そんなイヴジェーニに淡々と答えながら、眠っているアレクサンドルの手を握った。
「信じる……って……」
信じられない、とでも言いたそうに話すイヴジェーニ。
俺はその言葉に返答せず、アレクサンドルが俺に言ってくれた言葉を思い出していた。
『ずっとミーシャの傍にいるよ』
あの青空の似合う、晴れやかな笑顔をまた見せてくれ、アレクサンドル。
俺は祈り続けた。
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