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残酷絵巻はじまりはじまり3

 僕は変態を切り刻んだのだった。  ガキを抱きながらほんの先程までのことを思い出す。  生きながら刻んでやった。  コイツは子供を騙して、誘って犯して殺してたのだから、僕にこうされても仕方ない。  自分の楽しみのために人を殺しておきながら、自分だけはそうならないと考えるのは、おかしいよね? だからそうしてやった。 人にしたことは返ってくるって言うじゃない。  証拠が見つからないから、警察も何度も捕まえては釈放しなければならなかった男は、僕に刻まれながら、警察に捕まった方が良かったと思ったはずだ。  本当のことを言えば、僕はこの変態が何していても良かった。   僕は人のことを裁けるような人間ではない。  まあ、もう、人ではないけど。  ただ、あのガキといるためには殺人鬼ではだめなんだよね。  ガキが苦しむから。  殺人鬼を止めて「正義の味方」にならなければならなった。  「殺し」は止められなかった。  ほんのガキの頃から殺してきたし、それを仕事にしてきたし。  もう、本能みたいなものだし。  それに、人間ではなくなってしまった時に、人を殺すことはそうしなければならないことになった。  僕達「捕食者」は人間を殺す。  これは絶対だ。  例外はない。  殺人衝動を持つ。  ただ、僕は元々そうだったので、あまり変わらない。  だから殺すことは止められない。  でも、殺人鬼でも、正義の味方にはなれる。  だって悪者は殺していいからだ。  だから、悪者を殺しているのだけど。  いたぶり殺してしまうのは、懲らしめるためでも何でもなく、単なる僕の趣味だ。   誘拐して監禁したのはいつもの通り。  始末屋だった頃からのやり口だ。  ガキも協力した。  今じゃ、ガキが薬をかがしてターゲットを車に連れ込むタイミングは惚れ惚れするほどだ。  もはや、ガキもプロ並みだ。    麻酔から覚めて気がついた時にはターゲットは椅子に縛られ監禁されている。  さて、ここから先はお仕置きでも、拷問でも、死刑でもない。  ただの僕の快楽だ。  コイツが幼いガキどもをいたぶり殺したように、僕も何の罪悪感もなく、コイツを殺す。  「お前頭良いつもりだろ?」  僕は変態に話しかける。   確かに変態には見えない。  真面目な30代のサラリーマンってところだ。  人あたりの良い、営業職。  少し出た腹は安心感さえ与える。   誰もコイツがブギーマン「子供を誘って殺す変態」だとはおもわない。   でも、そうだ。  そして、警察に目を付けられても出し抜ける狡猾さもある  コイツは今、誤認逮捕で警察を訴えてさえいる。  ぬけぬけと。  「僕の出した問題を解けたら助けてやってもいいよ」   僕は変態に言ったのだった。

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