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残酷絵巻はじまりはじまり4

 変態の目に光が戻る。  上手くやってきた自分にたいする自信が、希望を持たす。  僕は希望を失わない人間の目が好きだ。  僕はコイツが殺したガキ達に与えてさえやらなかったチャンスをやった。  「僕が言う名字の下の名前を答えてくれる?」  ノーヒントだが、ちゃんと答えられてもいいはずの問題だ。  「鈴木」  僕は言った。  変態は戸惑う。  何を答えればいいのかわからないのだ。  「残念~~」  僕は僕の右手を変態の目の前に突き出した。  右手はバターのようにとろけていく。  そして、銀色の刃物へと姿を変える。  そう、これが僕の能力。  「武器化」と僕の能力に関する僕の資料にはそう書かれている。  僕の右手は刀や銃に変わる。  何でも斬れる刀とあらゆる物を撃ち抜く銃。  それが僕の能力だ。  変態の鼻を刀で削いだ。  吹き出す血と悲鳴と、落ちていく身体だった器官。  鼻があった場所はピンクの肉の断面図になっている。  ゾクリとした。  泣きながら見開かれた目が良かった。  生まれた希望が消えて、絶望が満ちるこの瞬間か好きだった。  「じゃあ、次、山城」  僕は優しく囁く。  やはり、変態は答えられない。  「・・・何の問題なんだよ!」  恐怖で叫ぶ。  「・・・残念」  僕は目玉を片方くりぬく。  叫び声。  目があったたころは、へこんだ穴になる。  取り出した目玉をのぞきこんてみたが、そこには何も映らない。  目は心の鏡じゃないのか?  この腐った魂はどこにものぞけない。  興味を失って、投げ捨てる。  「じゃあ、次な、斉藤」    やはり、変態は答えられない。  右手を切り落としだ。  吹き出す血も悲鳴も、歪んだ顔も。    ・・・良かった。  セックスと同じくらいに。  僕はコレが好きだ。  おそらく、変態も。  僕が質問する名字は、変態が殺したガキ達の名字だ。  名前があるなどとも、この変態は思っていなかっただろう。  わかるよ。  わかる。  僕もそうだから。  お前の名前さえもう覚えていない。  「田中」  僕はうっとりと囁いた。  答えがないのが良かった。  耳を削ぐ。  身体から切り離してしまえば、もうそいつではないただのパーツになってしまうのが人間の肉体で。  それが面白かった。  部屋の端で、ガキは目を閉じ 、耳を塞いでいるのが見えた。  ガキにはコレが受け入れないと分かっていて、ガキがどん引きしているのが分かっていて、それでも止められなかった。    僕は楽しい。  コレが好きだ。  「佐々木」  僕は名字を唱え、ソイツを切り刻みつづけた。  動かなくなるまで。  

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