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捕食者と従属者2
嘘だろ。
俺は思った。
こんな、ところで。
なんだかんだと買ってもらった帰り道、公園のベンチに座った。
俺がそうしたがった。
あの人は公園なんかに座る意味がわからないとぼやいていたけれど。
ただ、ベンチに座って二人でぼんやり出来るのが嬉しかった。
あの人の横顔が、綺麗だと思った。
ただ、思わず唇を軽く重ねただけだった。
俺からそういうことをすることはあまりない。
キスしたら、即セックスの流れになってしまうので。
抱かせてもらえるのならいくらでもするが、抱かれる関係であることは、まだ俺の中ではぐずりたくなるものがあって。
いや、散々してるし、すごく気持ちよいんだケドね。
でも、その時は抱きたいとか、抱きたくないとこかはとんで、ただ、この人にキスがしたい。
そういうキスだった。
そういうキスだったのに。
昼間の公園で、かすめるようにされる、恋人へのキスだったのに。
そっと触れて、離れる。
目を開けた。
俺のキスに驚いた顔をその人はしていた。
驚いた顔がおかしくて、俺は少し笑った。
次の瞬間、強く抱きしめられた。
まあ、ここまでは俺もドキドキしたり、この人 も俺のキスが嬉しいのか、と俺も嬉しかったりしていたのだけど。
ベンチに押し倒された時点で不穏なものを感じた。
まさか、と思った。
今まで車の中とか、物陰に連れ込まれてとかはあった。
外でもされた。
それも平気だったわけではないのだけど、まあ 、誰もみてないしと無理やり納得させてきたのだけど。
でも、ここは真っ昼間の公園で。
人は沢山いるわけではなくても、確かにいて。
なのに、あの人の指はシャツのボタンを外し、俺の胸を撫で始めたのだ。
「・・・可愛い」
耳を噛まれ、切なげに囁かれた。
乳首を摘ままれた。
ベンチの前を歩いていた人が一瞬止まり、ものすごい勢いで走っていく。
目の前でいきなり始 められたら誰だってそうだ。
「なっ、なにす、る」
慌てて押しのけようとした。
唇が塞がれて、淫らなキスが始まった。
溶かされる。
気持ちいい。
俺は。
俺は。
駄目だと思ってるのに、こんなの有り得ないのに。
絶対嫌なのに。
キスに応えてしまった。
淫らに蠢く舌を夢中で吸う。
こぼれそうになる唾液を飲む。
自分から舌を絡める。
気持ち良すぎた。
もうよく知った指は一番感じるやり方で、乳首を弄りにくる。
コリコリと摘ままれたら、身体が反り返る。
あの人の口の中に吐息をこぼす。
口の端から、唾液が零れた。
それでも、なけなしの理性をかき集め、身体を引き離そうとしたら、指がズボンの中に入って来た。
さらに下着の中に入る。
俺のものを指が扱きはじめる。
この人はあまり俺のそこには触れない。
最近は触ることもたまにはあるけれど。
俺のことは「穴」だと言って、乳首や後ろだけでイカせたがるのに。
され慣れないから、よけいに弱いところを。
何で、こんな場所でこんな時に限ってこういうことを・・・。
あ、そんな風にされたら、だめだ、ああっ!
俺は簡単に達してしまって・・・。
「早いな、可愛い」
耳元で笑われた。
あんたがこんなところでいきなりするから・・・。
悔しくて恥ずかしくて、引き離そうと・・。
「嘘・・・!」
俺は叫んだ。
ズボンが下ろされ、あの人の頭が股間にあった。
あの人の唇が俺のものを咥えるのが見えた。
こんなところで、こんな人目があるところで。
この、馬鹿!
神様、コイツ不死身ですけど、殺せる力を俺に今だけください。
俺は本気で願った。
咥えたり舐めたりも普段は絶対しないくせに。
でも暖かいそこは気持ちよくて。
音を立て吸われ、舐められた。
とんでもなく気持ちいい。
この人の中に入っている。
入っているんだ。
思わず声をあげてしまった。
人がいるのに、通るのに。
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