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捕食者と従属者3

 「早くてもいいんだよ。可愛いから。感じやすいのは好きだよ僕は・・」  口を離し、ねっとりと手で扱きながら、あの人が囁いた。  「・・・早いとか言うな・・、やめろ・・」  俺は色んな意味で恥ずかしくて、悔しかった。  また咥えられる。  でも、舌も唇も気持ちよくて。     「やめ、ろ、こんなとこで 、す・・んな、ああっ、はぁっ、ああっ!」  俺は声をあげてしまった。  人に見られ、て。  こんな声出してたら絶対見られ、て。  耐え難い羞恥に身体が焼かれる。  せめて顔だけ隠そうと両手で顔を覆う。  でも、それだけで終わらなかった。  指が後ろの穴に入って来ていた。  指が動く。  解している。  血の気が引いた。  この馬鹿、本当に最後までする気だ。  真っ昼間の人がいる公園で。  公開ホモセックスする気だ。  この馬鹿。   本当に馬鹿だ。  神様、本当にコイツを殺せる力を下さい。  逃げようとしたら、穴のいいところを擦られ、唇で激しくしごかれた。    「あっ」  俺はあの人の口の中でイってしまった。  あの人が飲んだのが分かった。  いや、口でしてほしいとか、飲ませたいとか、そういうのはあるけど、こんなのじゃない、俺はこんな公開セックスしたくない。  でも、気持ちよくて。   余韻で身体が震えていた、  「・・・お前からキスしてくれるなんて。可愛い、可愛いすぎるだろ」     囁かれたけれど、こんな真似されるのがわかっていたらなら絶対しなかった。  「可愛い、マジで可愛い」  両脚を担がれた。  「やめ、ろ、マジで、やめ、てくれ・・・お願い・・・ 」  俺は泣いて頼んだ。  「お前が可愛いのが悪い・・・」  うっとりと言うあの人はなんかもう、正気じゃなくて。  ゆっくりとそれが後ろの穴にズブズブと入って来て。  動き始めたら、もう、俺は何も分からなくなった。  気持ちよくて。  擦って欲しくて。  奥を突いてほしくて。  俺は理性を手放した。  それで良かったのだと思う。     あのまま理性があったまま抱かれていたら、多分、舌を噛み切ってた。  でも噛み切っても死ねないから。  理性も記憶も飛んで良かったのだとおもう。  気が付いたら家で、あの人が涼しげに「可愛かったよ」なんて言って。  あまりにも腹が立っていたからあの人の顔面に蹴りいれてたら、スーツが来て それでも止まらなくてまた蹴り入れて。  俺は部屋に閉じこもっていた。  耐えられない。  恥ずかしすぎる。  全裸で外を歩きまわる以上のことを俺は・・・。  死にたい。  今こそスーツに頼むべきか。  俺を殺してと。  あの人は。  あの人は。  やっぱり、俺をオナホかなんかだと思っているのだろうか。  「穴」だ「穴」だと言われてきたけど、本当にそう思っているのだろうか。  恥辱で死ねる。  身体が震えた。  女みたいに悶えて乱れる姿を人に見られた。   あの人に見られるのだって 、色々複雑なのに。  俺は俺のプライドを折って、あの人に抱かれてる。  それくらい好きだからだ。  でも、あの人は俺のプライドなんて何ともないんだ。  本当に「穴」なんだ。  気持ちよく声をあげていたことが耐え難い。  自分が良ければ、本当に俺の気持ちなんてどうでもいいんだな。  俺は唇を噛みしめた。  俺はプライド曲げてアンタの側にいるのに、あんたにはそれはゴミみたいなもんなんだな。  何が、可愛いだ。  ラブドールかよ。 俺は。 何がなんでも可愛いだ。  ラブドール相手に言ってんのと同じだろ。  俺はつらかった。  性のはけ口みたいに使われるのは、やはりいくら気持ちよくてもつらい。  これからもそんなのが続くのか。  どこまで俺は耐えられるのか。  ドアが開いた。  鍵はかけてない。  あの人の家だ。  俺はあの人のものだ。  好きにしたらいい。  抱きたければ抱けばいい。  俺は投げやりな気持ちになった。  「・・・入っていいか」  遠慮がちな声がした。      

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