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捕食者狩り 尖風少女3

 「まだ始まってもないぞ」    男は少女の髪を掴んで引き起こす。  「ああ・・」  少女はぐしゃぐしゃの顔をさらにゆがませる。  また悲鳴が上がる。  今度は脚を切り落とされた。  「・・・不死身ってのはいいな、ずっと楽しめるって意味だろ」  男は切り落とした脚を持ち、その断面を舐めながら言った。  整った顔が血で彩られる。  少女は顔を歪めて泣いている。  「痛いよぉ~・・・助けて・・、助け・・て」  必死で這って片腕と片足だで這い、逃げようとする。  男は少女の顔面を思い切り踏みつけ、逃がさない。     少女の口から折れた歯と血がこぼれる。  男が投げた斬られた脚は、また少女の元へとみずから蠢いていく。  自らの意志があるかのように。  彼らは人間ではないのだ視覚で理解させられる瞬間だ。  「逃がすわけないだろ、少しは僕を楽しませろよ」    男は楽しげに笑った。  消されてない、残った胴体部分を刀にした腕で、男は切りはじめた。  そして、切り裂いた腹に手を突っ込み、腸を取り出す。  「痛い・・痛い・・お母・・さ・ん、助け・・て!」  少女は泣き叫ぶ。  「それ」がどんなに化けモノだとわかっていても、その声、その無力な様子は見ていられないものがあった。  「お母さん・・お母さん・・」  哀れな少女の姿をしているモノは泣き叫んでいた。  血を流し、無力で。   それはあまりにも痛々しく。  「お前のお母さんはお前が殺したんだろ、・・・多分、一番最初に」  男は笑う。  男が心ゆくまで楽しんでいるのがその笑顔から分かった。  コイツは、コイツは・・・わかってはいたが、本当に下衆だ。  さすがの私も耐え難いものがあった。  「もう止めろ!」  少年が叫んだ。  「何、お前、いつもは黙ってみているくせに。コイツが小さな女の子だから?何僕に命令してんの?いつからそんなにえらくなった?」  男は少年の言葉を気にもとめず、少女の耳を削ぎ落としながら言った。  小さな耳を手のひらにのせて弄ぶ。  「痛い、よ・・ぉ、お母さん、お母・・さ」  少女は悲鳴をあげる。  「・・・お前はバカか。コイツはお前を穴だらけにしようとしていたんだぞ?」  男は何度も何度も、ぐちゃぐちゃと少女の胴体を刀で貫く。  「お前を殺そうとしてたんだぞ?・・・許せるわけないだろ、女の子の姿をしているくらいで」  顔を刀でえぐり始めた。  後頭部まで刀は貫通する。  少女の喉からは、人間のモノとは思えない呻き声がもれる。  喉に穴があけられて声が出ないのだ。  「コイツ、は、お前、を!」  叫びながら、男は少女の顔を貫き続ける。  この時、多分、少年も私と同じ事を思っていたと思う。  じゃあ、少年を囮に使ったお前は何なんだ、と。  少年の跳ぶタイミングが少しでもズレていたら?  少年は死んでいた。  あまりにも、あまりにも作戦と言うには無謀な作成だった。    私は男に腹立たしさも感じていた。  男を殴りつけたいと思うほどに。  大事にしてやれ、そう言ってやりたいほどに。  そして、そんな自分にも戸惑っていた。  監視者として対象者にのめり込むのは・・・良くないのだが。  「やめろって!」  少年は叫んだ。  震えていた。   男の手がやっと止まった。  その理由も私には分かった。  「止めてくれ・・・それでも俺は嫌なんだ・・・」  少年が泣いたからだ。  普段あまり表情を変えないクールな顔が、泣いていた。  男はそれを食い入るように見ていた。  この理由も、私には分かってしまった。  泣いたから止まったのは感情を動かされたからではない。  欲情したからだ。  殺意より欲情が勝っただけだ。  少年の泣き顔は、どうにも扇情的だった。  特に、血塗られた場所では。    

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