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潜入14
ランプの灯りに浮かび上がる、もつれ合う二つの身体。
「そこ・・・好きや・・もっと擦って・・・」
淫らな声か響く。
「ボク以外ともシたいんか・・・あんた」
苦痛に耐えるような声。
痛み。
でも、それはその人を責めたてる行為になり、快楽になる。
「ボク以外となんて、嫌や・・・」
青年があの人の脚を押し広げ、貫き、腰を打ちつけていた。
無表情なあの青年の顔が嫉妬に歪んでいた。
そんな顔ができるのだと驚く。
冷静で作り物の人形のようだった顔は、欲情した雄の顔だった。
「あの子に言うたこと、気にしてんのか・・・あっ!」
気持ちええ、と、その人は喘いだ。
「・・・アホ、冗談やろ・・・」
優しい声が言った。
腕が伸ばされ、顔をひきよせ、その人は青年に口付けた
まるで、痛みのように青年はそのキスを受ける。
そして、小さな呻き声をあげ、その人の後頭部を抱え、その口の中を舌で蹂躙するのがわかった。
「あかん、ボク以外としたら、あかん」
青年がキスの合間にささやく。
俺はヤバいとこにきてしまったと思った。
また話をしようと言われていたし、色々直接聞いた方が早いと思って、少年の部屋だと教えられた部屋を訪れたみたら、ドアが開いてて。
二人がしてた。
「アホ。ホンマ、アホ・・・お前だけとしかせん・・・」
優しく囁かれる声に、なぜか俺の胸が痛んだ 。
こんな風に囁かれたくて。
あの人はこんなこと言ったりしないだろう。
「あんたがボクだけのもんやないのもええ、あんたがしたいことは何でも叶えたる。でも、これだけはボク以外とせんといて・・・」
男の切ない声の意味もわかる。
こんな人を好きになってしまったなら。
自分だけのものにはならない人を好きになってしまったなら。
この人は、色んな人を抱えている。
だから、この男だけのものではない。
だから。
「・・・そうか」
あの人はため息をついた。
そのため息の意味を男も俺も測れなかった。
でも、その眼差しは優しいのだろう。
男は耐えられないように、自分から目を背けた。
「いつか、お前には・・・お前にしか見えへんものを見せたるわ・・・」
あの人は言った。
優しい指が男へ伸ばされる。
男の背中を撫でる。
「オレん中にもっとおいで・・・」
優しく囁かれたら、男は声をあげて男をむさぼっていく。
男は抱かれていた。
つらぬいているのは男なのに、抱いているのはあの人だった。
男の眼差しも、声もあの人に吸い込まれていく
奥を擦られ、あの人は声を上げる。
男はあの人の中へ深く深く潜っていく。
溺れていく。
溶けていく。
ただ、あの人をすべて自分のものに出来ない痛みだけが、男をあの人に完全に溶けさせていなかった。
怖いと思った。
あの人は淫らだった
それは餓えのような淫らさではなかった。
欲しがれば、いくらでも与えてくれる淫らさだだった。
あの人に、満たされる。
身体も、心も。
あの人を抱けば、あの人に溶けて、あの人だけのものになってしまうのがわかった。
それが怖かった。
この男はギリギリのところで、この人のものになることを拒否している。
この人を自分だけのものにしたいから。
「ああ、気持ちええ・・・」
あの人が声を上げる。
うっとりと。
まるで痛みを感じているかのように男は顔を歪め、その人の奥を擦りたてる。
ぐちゅぐちゅと、そこをなぶっているのだ。
ずくっ。
俺の中が蠢いた。
俺はそうされるの何を感じるのか知っているからだ。
俺もされてたから。
俺の愛しい殺人鬼に。
最奥でされると、その襞を擦られると、 穴全体が蠢くような快感がくる。
怖い位のそれは、身体全体を痙攣させる。
出してないのに何度もイケる。
見てるだけなのに俺の身体が震えた。
されてるみたいに。
ズクン。
身体が疼いて、声がこぼれそうになった。
ダメだ。
何見てんだ俺。
あの人が声をあげていた。
男は苦痛のように快楽を貪っていた。
俺は逃げるようにそこを離れた。
身体が疼き、怖かった。
あんなに、エロくて怖い人を俺は初めてみた。
抱いたら最後、あの人に溶かされてしまう。
あんな人がいるんだ。
俺は初めて、セックスが怖いと思った。
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