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潜入15
建物の外へ逃げた。
身体が疼いた。
したくてしたくてたまらなかった。
そして、恐ろしいことに気付いた。
毎日されてたから分からなかった。
あの人を抱きたいとは思っていたけど、毎日抱かれているのはあの人にそうされるからだと思っていた。
抱かれれば気持ちいいけど、それはそうされているからだと。
俺がしたいんじゃなくて、あの人がしたいんだと。
でも、あの人と離れてまだ1日もたっていないのに。
俺の身体は飢えていた。
したい。
人がしているのを見ただけでスイッチが入ってしまうほどに餓えていた。
したい。
欲しい。
建物の外は暗かった。
だから、誰も見ていないからいいと思った。
ズボンを下着ごと引きずりおろした。
自分のモノを扱く。
ダメだ。
足りない。
これだけじゃだめだ。
指を穴に入れる。
擦りたてる。
気持ちいい。
でも足りない。
奥に欲しい。
あの人が欲しい。
出した。
でも、おさまらない。
前を扱く、後ろを擦る。
ダメだ。ダメだ。
足りない、ツライ。
「足りない・・・」
辛くて泣いていた。
あの人のが欲しい。
何度も言わされた言葉かこぼれてた・・・。
「俺の恥ずかしい穴に・・ ・挿れて・・・」
でも、あの人はいない。
俺は呻いた。
誰でもいい、とさえ思った。
女の子以外にも、お誘いはあった。
屋上で話した少年だ。
断った。
女の子と一緒で、大して気を悪くはしなかった。
「気が変わったら、部屋に来て」
と部屋を教えてくれた。
部屋に行けば、挿れてもらえるのか。
まさか、あの人にこんな身体にされていたとは思わなかった。
たった1日も我慢出来ないなんて・・・。
それとも・・・従属者は、捕食者とセックスしな いとダメなのか?
あの人の事を考えた。
あの人の指、舌 、俺に入ってくるあの人のモノ。
耳さえ犯す声。
身体が熱くなった。
欲しい。
俺は喘ぎながら、自分のモノをしごき、穴を擦りたてる。
何度も何度も出した。
でも、イッてもイってもおさまらない。
俺はど淫乱で、雌なのか?
あの人が言うように。
俺は怯えた。
でも、そうか、と思った。
そういうことか、とも。
俺はあの人のこと考えた。
入れられるのではなく、入れるために。
俺の唇で喘いだあの人を思った。
「好きだ・・・」
言葉は勝手に出る。
俺のキスを優しいと言ったあの人を思った。
白い肌。
俺の噛んだ痕。
押し殺した喘ぎ声。
俺はあの人を思いながら自分を扱いた。
気持ちいい、そう思った。
あの狭い穴を思った。
また指しか入れたことのない穴を。
アソコに入ることを考えた。
真っ赤になって感じていたあの人。
「可愛い・・・」
可愛いあの人。
俺は妄想の中であの人を犯した。
あの人の中は気持ちいい場所だった。
「・・・あっ」
俺はイった。
俺はスッキリとしていた。
何度出してもおさまらなかったのに。
・・・なる程。
雌モードの俺は、欲しがるだけだ。
だから手に入るまで狂う。
でも、コッチの俺は、それだけじゃないんだ。
だから・・・。
やはり俺は確信する。
あの人には悪いが、間違いない。
俺達はこちらが絶対正しい形なんだ。
「・・・あんたは俺に抱かれるべきだ」
俺は呟いた。
「・・・ふざけんな」
ぶち切れた声がした。
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