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嫉妬5
「・・・明日の夕方までで逃げてこい。明日は家で抱いてやる」
僕はガキにキスして言った。
長居はさせられない。
コイツを離せない。
ここは危険だ。
色んな意味で。
「え、でも・・・まだまだこの人たちには分からないことが・・・」
ガキは渋ったが、もう無理だ。
「分からないなら分からないなりにやる・・・いいから明日までだ」
僕は言った。
そして付け加える。
「あいつらは敵だ。忘れるな」
ガキが忘れないように。
傷つくのはお前だ。
「わかった」
ガキは頷いた。
絶対に分かっていなかった。
いいさ。
傷ついたお前を抱くのは嫌いじゃない。
「じゃあな」
僕は立ち上がろうとした。
「・・・ちょっと待って」
ガキが僕を抱き止める。
キスされた。
名残惜しそうに。
あんだけしたのに。
明日また会えるのに。
優しい優しいキスだった。
僕は 離れるのが切なかった。
でも、もういい加減行かなきゃいけない。
「・・・もういいだろ」
一瞬ガキを抱きしめてから、夜の闇に紛れていく。
「・・・調子狂うんだよ」
顔が赤いのを見られなくて良かったと思った。
そして、救世主気取りのバカだけは、絶対殺すと心にきめていた。
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