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記憶6

 「・・・ほら、好きにし」   囁かれ 、唇を与えられる。  唇さえ、触れさせてくれたなら、ボクはソイツの口の中を好きなようにできた。  後頭部を掴む。  舌を貪り、口の中を舐めまわす。  唾液を飲む。  唇を甘く噛み、舌を絡める。  「こないなすごいキスするくせに・・・たまらんわ」  アイツが喘ぐ。  「指だけでも、入れてくれへん・・・欲しい」  囁かれた。  指を舐められた。  舌を指先から付け根まで這わせ、一本ずつ、音をたててしゃぶられた。  それだけで、イキそうになる。  その濡らした指を、そこへ導かれる。  「お願いや・・・入れて。お前が欲しいねん・・・」  そう言われたら、獣のような気持ちになり、同時にそんな自分に虫唾が走る。  「お願いや、頼むわ・・・」    胸に頬を寄せられ、吐息混じりでせがまれたら、止まらなかった。  震える指をそこに入れた。  温かいそこ。    ボクの指を締め付ける。  「擦って・・・お腹側んとこ、そう、そこ」  言われるまま擦れば、腕の中でアイツが乱れる。  「そこ・・・あ、ええ。好き、そこ・・・」  喘ぎ、身体をふるわせ、腰が揺れる。  ドクン。  胸が鼓動をうつ。   自分の見ているもののいやらしさに、身体がたぎる。  唇を寄せられ、舌を入れて口の中を犯す。  指で穴を擦りたてる。  胸に触れたい。  その乳首を吸いたい。  きっともっとコイツは乱れる。  でも、ダメだ。  ・・・怖い。  でもコイツを気持ちよくさせてやりたい。  せめて、せめて。   ボクは指で責め立てた。  キスと、指だけでアイツはイった。  「ああっ」  声をあげ、白濁を吐き出し、身体をふるわせた。  ボクの腕の中で。  愛おしさに抱きしめる。      ボクはこんな時、何を言えばいいのかも分からない。  ただ、抱きしめる。  この感情が何なのかも分からない。  「腹に固いもんが当たっていたいで」  アイツが笑う。  ボクのものは限界寸前まで、高ぶっていた。  「咥えたらあかん?」    切なげに言われたけれど、ボクは首を振った。  ダメだ。  あんたが乱れる姿は綺麗だ。  いやらしいけど綺麗だ。  だから平気。    でも、ボクは汚い。  きっと父親みたいに汚い。  「じゃあ、手でしたる」  それは受け入れた。  アイツの指が嬉しかった。    抱きしめたまま、扱かれた。  また唇を寄せられ、キスをする。     「お前のキス、好きや・・・たまらんわ」  アイツが微笑む。  そして切なげに扱く。  「こんなデカいん、挿れたいわ・・・」  切なげに言われる。  「・・・ごめんな」  ボクは謝る。  「ええ、少しずつや。今日は指入れてくれたやん、ゆっくりいこう」  笑ってくれた。     

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