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記憶12
「お前、考え違いしてるんやないか?お前はオレの夢が叶えばいいとか思ってへんか?」
アイツは怒鳴った。
「お前結果しか見てへんやろ、誰がそんなこと望んでんねん。ええか、オレはみんなで死んでもええ、思ってるんや。ええか、オレの仲間にオレと死ぬのが嫌なヤツなんか一人もおらんわい」
ボクは呆気にとられた。
ボクは勘違いをしていた。
コイツは、コイツは・・・。
ボクが思っている以上に貪欲だった。
我が儘だった。
独占欲の塊だった。
子供だった。
自分の思い通りの世界を作り、作れなければみんなで死ぬつもりだったのだ。
人の命を・・・自分のもののように考えている。
いや、実際、皆喜んで死ぬだろう。
ボクだって。
こんなに激しい怒りをぶつけられたのは初めてだった。
すぐに、アイツの顔から怒りは消えた。
「・・・誰かが犠牲にならなあかんくらいなら、みんなで死のうや」
アイツは優しく笑った。
屈託なく。
本気なのだとわかった。
ボクは、この男にかなわない。
ボクはへたりこんだ。
「とりあえず、先にコイツを始末せなあかんな」
また、暴力か始まった。
後頭部を掴まれ、男は何度も壁に叩きつけられた。
最初は悲鳴が聞こえたが、それは次第になくなった。
それでも、男は生きていた。
ピクピク痙攣する男の後頭部をつかんでぶら下げるように持ったまま、ソイツは笑った。
「面白かったか、人のモンに手ぇ出して。悪いことほと楽しかったか?楽しかったんやったら、何されても文句ないなぁ」
耳許で囁いた。
股間と顔をつぶされていた。
顔の骨を折られ、片目は飛び出していた。
おびただしい血が顔と股間から流れていた。
「お前 、もう死ねや」
ソイツは掴んでいた手を離した。
男はゆっくりと倒れる。
床に倒れるその前に、ソイツの蹴りが首に当たった。
ゴリッ
嫌な音がした。
首は有り得ない方向に曲がった。
男が死んだのは明白だった。
アイツはため息をつき、血まみれの手をどこで拭こうかと悩み、結局、倒れて死んでいる男のシャツて拭いた。
背中側は綺麗だったからだ。
「さて、と」
アイツはへたりこんだボクの前に屈んだ。
ボクは目を合わせられない。
下を向いたままだ。
「・・・様子がおかしいから、つけたりなんかしてもうたやないか。オレストーカーやん、これ」
顎を掴まれ顔を上げさせられる。
「・・・お前なぁ、優しいしたっとったらふざけたことしよるな。オレに挿れへんのに、このオッサンには挿れさすんかい。おかしいやろ」
いつも笑っている顔に、男を殺す時でも浮かべていた笑顔はなかった。
「・・・ボクは汚いから・・・」
ボクの言葉は途中で途切れた。
ソイツが唇を塞いだからだ。
淫らなキス。
思わず応えてしまう。
「・・・知らんわ、ボケ。お前、オレはめちゃくちゃ怒ってるんやで。お前の気持ちを考えて、我慢しとったんやぞ、でも、もうええな。お前みたいなんは無理やりでもしてもうた方がええ」
唇が離れた時、アイツは言った。
そして、床に押し倒された。
無理やりって・・・。
ボクは戸惑う。
気がつくとアイツの顔が股間にあった。
ボクは押しのけようとした。
咥えられた。
唇で扱かれ、吸われ、舐められた。
「あかん、お前が汚れる」
ボクは叫んだ。
「汚いとか汚れるとか、どうでもいいんや、ボケ!汚れたらお前はオレを嫌いになるんか」
ボクは怒鳴れ、思わず怯む。
また咥えられ、ソイツの口の中で大きく育てられる。
アイツはボクのモノを咥えながら、床に落ちていたローションを拾った。
ズボンを下ろし、手にローションをとり、自分の穴をほぐし始めた。
その間も唇はボクのモノをしごく。
その光景があまりにもいやらしくて、目眩がした。
アイツの唇も舌も気持ちよすぎた。
舌が淫らな生き物のように動く。
「大きいな、コレ、ずっと挿れたかったんや・・・」
アイツが先を何度も軽く吸いながら、うっとりと言う。
まさか。
まさか。
本当にここでする気か。
「連中の事務所で、連中の偉いさん殺してもうたんや、はよ逃げな」
ボクは焦って言う。
「しばらく帰ってこんて言うてたやないか、オレはドアんとこで聞いてたで。お前とやってからで逃げるんはええ」
アイツはガチガチにボクのモノをその口で育ててから言った。
「お前は・・・アホや」
顔を撫でられた。
その目は優しかった。
「ホンマにアホや・・・」
勃ちあがったボクのそこに、アイツはゆっくりと腰を下ろしていった。
そこは柔らかにボクのモノをのみこんでいく。
「あ・・・ええ。デカい・・・コレがほしかったんや・・・」
アイツが喉をそらし、あえぎながら言った。
上下に動き、腰を回す。
「あ・・ああ、ええ、気持ちええ・・・」
吐息と、零れる声。
淫らな動き。
アイツの中が、アイツが。
ボクはアイツの中にいて。
「めっちゃ・・ええ、クソ、たまらんわ・・・」
どんどんアイツの動きが激しくなってくる。
その動きに持って行かれそうになる。
気持ちいい。
「・・気持ち・・ええ!」
頭をふり、顎を上げ、身体をそらし、アイツが叫ぶ。
もうダメだ。
もうダメだ。
限界だった。
ボクは唸り声を上げた。
アイツの腰へと手を伸ばして掴み、下から突き上げた。
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