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潜入16
俺は・・・。
満足していた。
あの人にガンガンにやられて。
なんという身体にされてしまったのか、考えるとツライ。
マジでド淫乱じゃないか・・・。
1日我慢できないって・・・。
俺、もう入れられる方じゃないと満足出来ないんじゃないかと思ってしまうのが怖い。
でも、根拠はないが、あの人に挿れるのは大丈夫だと言う自信はある。
大丈夫。
あの人を想うと、オレの助平心がたぎる。
まだまだ大丈夫。
さっきもドサクサに紛れて、キスしたり俺のしたいこともしてみた。
ドサクサだったらあの人も拒否しない事は分かった。
イケる。
うまいことやれば、オレが挿れる方にもっていけるんじゃないか。
少しずつ俺の望む方向へ持っていってみせる。
なんとしてでも、ポジションを交換してやる。
オレは決意を新たにした。
オレの胸に抱きしめるあの人が一番可愛いんだ。
・・・本当に。
愛しすぎるし、思うだけで切ない。
もうすぐ夜明けだ、部屋に戻ろう。
その前に、大量の使用済みのコンドームを地面に埋める。
あんなにあったのに、使ってしまった・・・。
恥ずかしいな。
でも、あの人がしぶしぶ不機嫌そうにコンドームを着ける姿は、おかしくて、愛しかった。
俺の言うことを聞いてくれたのだ。
絶対普段はしないのに。
そういうところが可愛すぎる。
部屋に戻る前に、散歩してみることにした。
でも、俺があれだけ喘いでいたのに誰も来なかった。
人の気配にはレーダー並みに敏感なあの人か何も言わなかったから、誰にも気付かれていなかったのだろうけれど。
ここはあまりにも静かすぎる。
俺は歩く。
多分、ある程度離れたら、屋上の銃を持った彼らから監視されているんだろうけど。
出歩くなとは言われなかった。
撃たれることはないだろ。
俺は、人影をみつけた。
洗濯やお風呂の場所になっている、公園のベンチに座っていた。
「心が動かない」と女の子が言っていた子だと思った。
外で辛いことがあって心を閉ざしているんだと
でも、こんな夜中にこんなとにいるなんて・・・そうか、寒さは感じないんだ。
でも・・・オレは気になり、少女に近づいていっ
た。
「・・・話かけてゴメン、でもこんな夜中に大丈夫?」
オレは驚かさないように、静かな声をかけた。
少女は虚ろな目を前にむけたまま、なにも言わない。
オレは彼女の隣りに腰掛けた。
「・・・ここはいいところかい?君にとって」
別に返事はいらなかった。
少女は虚ろに前を見ている。
「・・・ここは在ってもいいんじゃないかな」
オレは思う。
この世界から見捨てられた人達の国。
いいんじゃないか、どうせ、外は彼らを要らないと言ったのだ。
彼らがあつまることくらい、多少のトラブル位はいいんじゃないだろうか。
彼らがここでやっと幸せになれるなら。
オレには彼らを駆逐する理由はないように思えた。
それとも世界は彼らの不幸さえ欲しがっているのだろうか。
誰かの不幸がなければ世界は回らないのだろうか。
俺はため息をついた。
しかし、女の子は本当に動かない。
身動きさえしない。
・・・待って、この子呼吸もしてないんじゃ。
俺は女の子を見つめた。
かすかな呼吸のための身体の動きさえ感じられなかった。
まさか。
俺は女の子の肩に触れた。
柔らかい肉体はそこになく、硬い木のような感触だけがそこにあった。
「何だよ、これ」
俺は女の子の顔を覗きこんだ。
頬に触れる。
産毛もあり、睫毛もあり、毛穴まであるのに。
瞳は開け始めた空の光を映してさえいるのに。
触れたならば柔らかそうなのに。
その顔は堅かった。
木のように。
「・・・人形?」
あまりにもよく出来すぎていた。
それとも・・・
「死体を加工してるのか?」
何かの防腐処理をした死体なのか?
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