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前夜6

 こんなに好きなのに。  コイツがボクのことを思ってくれているのもわかっているのに。  でも、不安になる。  それをかき消すためにコイツをむさぼる。  「一回出す、もたへん・・・アカンちょっと待って・・・ゴムしてへん」  ボクは慌てた。  「そんなんええ・・・アホ、中で出せ・ ・・あっ」  抜こうとするボクに、アイツがしがみつく。    「あんたなぁ・・・」  ボクは言いかけるが、コイツに肩をかまれる。  「・・・アホはあんたや」  その声が甘くなってしまうのは仕方ない。  ボクはその奥で出した。  アイツが、その刺激で、またイく。  また締められ、穴が蠢き、ボクのものは硬くなる。  何度だっていける。   まだ震えでいる、コイツの中を再び貪る。   「もっとや・・・もっと」   コイツが叫ぶ。  どれだけ淫らで、欲深いのか。  何もかもを手に入れようとする、その傲慢さが、真っ直ぐさが愛おしい。  腰を振られ、持っていかれそうになるのを堪える。  唇を貪る。  愛しい。  愛しい。  「お前オレのもんになり」  あの少年に言っていたことをふと思い出し、胸の奥が焼ける。  少年。  彼は似ていた。  コイツに似ていた。  いや、違う。  種類は違うけれど、闇の中でも光るような何かをコイツと同じで持っていた。  闇に堕ちても、闇に染まらない光。  少年とコイツが惹かれあうのが目に見えてわかった。  分かっている 。  分かっている。  そういうのじゃない。  コイツはボクとしかしない。  そんなこと分かってる。  でも。  ボクやなくて、あの子の方がコイツには相応しいんやろうとか、考えてしまうんや。    ああ、そうや。    敵になったままでいてくれるんやったら。    ボクがあの子を殺したろ。  ボクはコイツの唾液を飲みながら決めた。    ボクはコイツのもんや。  全部。  だからコイツがアカン言うことはせん、  でも、あの子が敵でいてくれるなら、殺すことはアカンことやない。  

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