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V.S 4
「どうするもこうするもない。予定通り行く」
男は言った。
「しかし、凄い勢いで拡散されていくし、ここまで騒ぎになれば、テレビ局等にも放送規制もきかないんだぞ」
私は判断に困った。
「迷うな。殺すと決めたんなら殺せ。時間がたてばたつほど、殺しにくくなる。殺すなら今しかない」
男の目は冷静だった。
「捕食者」を殺す作戦については彼に一任されている。
何故なら彼にしか「捕食者」は殺せないからだ。
今回は捕食者、従属者以外にも樹化人間(こちらが正式採用された言葉になった)がいるため、私のチームと彼との協力で行う。
従属者の少年は今回は外れる。
少年のメンタルに問題が出る可能性が出たからだ。
元々彼はあくまでも、男の性処理のための存在なのだ。
「・・・お前の判断に任せよう」
私は決めた。
どのみち、責任をとらされるのは私だ。
だが、私の後任 はいないだろう。
誰もこの男と関わりを持ちたくないからだ。
責任だけはあり、危険で恐ろしい男と過ごさなければならないこの仕事をしたいヤツなどいない。
私もこのポストを引き受けさせられた段階で、出世は諦めている。
つまり、何をしても責任はとらされるが、辞めさせてもらうことさえできないのだ。
好きにやるしかない。
「現場近くを封鎖しろ。一般人が見にくる可能性がある、誰一人近づけるな。報道のヘリも近寄らせるな」
私は警察と連係するように部下に連絡する。
「バリケードからアイツらが出てくることはない。僕が見張っていた時も、アイツらはバリケードからは出て来なかった。でも、街から人間を複数人攫ってる。他に入り口がある」
男は言った。
「見張ってたのは『彼ら』じゃないだろ『彼』だろ・・・」
思わず呟く。
この嫉妬と独占欲の塊。
ならばもう少し大事にしろ、と言いたくなる時はある。
今回の作戦は不参加だが、いつも男の少年の作戦での使い方は酷いものだ。
「・・・何か言ったか」
凄い目で睨まれる。
冗談では済まないのにこういう軽口を叩くのは、死んでもいいから、たまにこの仕事から逃げたくなるからだと思っている。
「・・・別に。まあ、奴らがどこから出入りしているのか普通に考えたら下水道、マンホールからだな」
ちゃんと、抑えてある
どこにマンホールがあるのかの図を男に渡す。
男は一目見て返す。
必要なところは頭に入れたらしい。
「頼んだものは用意できたか?」
聞かれ、頷く。
いつも通り、どうするのかはわからないが。
そして、頼まれていたものの一つである銃を渡す。
「弾は一つだけだ。『材料』には限りがあるからな」
不死身てある捕食者にたいして数少ない有効な武器。
捕食者の肉を入れた弾とそれを撃つための銃。
捕食者の肉体同士は反発しあうため、他の捕食者の肉片を脳に撃ち込まれると、捕食者の身体は著しく動きが低下する。
研究所に「ある」もしくは「いる」捕食者の肉で作られている。
このあたりは最高機密であり、私にも良く分からない。
捕食者は恐ろしく人間では殺せないものだが、その能力はまちまちでそれほど恐ろしい能力ではないモノもいる。
人間では殺すことこそ出来ないが、能力の低い捕食者を捕らえて様々な実験が行われている、とは聞いたことがある。
ちなみに、男も捕食者の中では能力は低い。
男の場合、殺し屋だった頃からの殺しのスキルと、その殺す為にどうするかを考えられる頭脳こそが最大の武器なのだ。
「一発か。間違うわけにはいかないな」
男が呟く。
今回は、どちらかが捕食者か従属者なのかが分からない。
捕食者に有効な武器を捕食者以外に使うのはチャンスをのがしてしまうことになる。
「今回の作戦が失敗したら爆弾が投下される。捕食者を灰にするレベルの。場合にやっては近隣住民に被害が出るとしても仕方がないと上は判断している」
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