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V.S 15

 オレは屋上からガキ共の様子を見ていた。  笑いが止まらない。  見事なまでの殺しっぷりだ。  下水道でガキ共殺した奴、多分、あの坊やの恋人だ一一は思っていただろう。  これでこちらの優秀な戦力を削いだと。  そうだな、確かにあの下水道にやったガキ共はオレが訓練した、結構ヤれる奴らだった。  銃も撃てたし、それなりに訓練もした。  オレの可愛い兵隊共だった。  ソイツらを殺して思っただろ?  これでこちらはマトモに戦える奴が減ったと。  そう思ったからこそ、手柄を奪いに別口のヤツらが来た位だからな。  今度の敵は始末屋の手口とは随分違って甘かったから、別口なのは間違いない。  手柄争いは上の奴らの一番の楽しみだからな。  バカ共が。  それは何時の時代でも変わらない。  甘い奴らだ。  そうだ、マトモに戦えたのは、あの死んだ10人位だった。  後はいくら訓練したところで使い物にならない奴らだった。    もともと、外の世界で虐げられた奴らや、老人や、女の子達の集団だ。  今は人間よりは強いとしても、武装し、訓練した人間ならば殺せないことはない。  ・・・人間の姿の時はな。  オレ達がこういう姿になるとは予想さえしてなかったんだろ。  オレは笑いを抑えられない。   あいつら殺されたガキ共の敵を見事に討ったじゃないか。  オレは集合体には加わらなかった。  オレはこのままの方が色々と役に立つからだ。  ヘリコプターが飛んできている。  偵察か。  少しばかり近くを飛びすぎだ。  本当に、平和ボケもいいとこだな。  オレはライフルを構えた。  撃つ    銃声が響いた。  ローターを撃ち抜けさえすればヘリコプターなんて落ちるだけだ。  別におおげさな武器はいらない。    オレは団地の一棟にぶつかり落ちていくヘリコプターを愉快な気持ちで見守った。    でも、小さなおもちゃのような、ドローンとか言う飛行機は見逃してやった。  あれはこの光景を中継してるのだと兄さんの相方が言っていた。  ならば、見てもらおう。  そして、どうする?  この次は?    オレは楽しくなってきていた。  さあ、久しぶりの戦場だ。  楽しませてくれ。      

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