「・・・あんなもの、どうやって倒すんだ」 　モニターを見ながら部下が呟く。 　民間の大型のトラックに似せた特別車のコンテナの中で仮設の作戦室を作っていた。 　尤も、私の手から作戦は取り上げられたのだが、撤収はせず、しばらく様子を見ていたのだ。 　その結果がこれだ。 　惨殺の光景。 　その光景はおそらく、私達の管轄を横取りした連中のとこにも映っているだろう。 　ああ、本当に、こんなものをどうやって倒すんだ。 　蠢く巨大な塊。 　圧倒的に殺戮をする化け物。 　だけど男はチャンスだと言った。 　あの連中が来た時だ。 　「あいつらは殺される。そして、お前に何とかしろと泣きつきにくる。その時にしっかり恩を売っておけ。今後下らん命令で、お前の部下があいつらみたいに殺されないように。・・・お前だってそれは嫌だろ？」 　男は言った。　　 　人の部下を犠牲にしておきながら。 　「・・・これでも、僕は最低限の犠牲で済むように頑張ってるんだぞ。お前に確かに嫌がらせはしているけどな。何度も言ってるけど、僕は正義の味方なんだ」 　男は真面目な顔で言った。 　この男の正義とは何なんだ。 　「・・・後一人、僕にくれるんだったな・・・貰うぞ」 　男はその綺麗な顔を寄せてきた。 　綺麗な微笑に鳥肌が立つ。 　でも、私は男に逆らえない。 　私はもう二人部下を殺した。 　この作戦を成功させなければ、何の意味もなくなってしまうのだ。 　この男が悪魔なら、私もまた悪魔なのだ。 　後一人、それでこの化け物が倒せるのなら・・・。 　私はそう思ったのだから。 　「室長、通信が入りました」 　部下が言った。 　・・・男の読み通りだ。 　また、この作戦は私の手に戻るだろう。 　私にはそれがわかっていた。　　 　さあ、始めよう。 　逆襲だ。