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V.S 23
僕は飛び出した。
正直に言う。
僕は暗殺専門だ。
正々堂々やりあうのは僕の流儀じゃない。
だけど今回ばかりはやらないわけにはいかない。
頭を撃ち抜かれた。
良い腕だ。
くそったれ、ジジイ。
その瞬間、ガキが走った。
速い。
本当に速い。
ガキの後を銃声が追う。
ほら、当たらない。
ガキは予想を超えるほどに速い。
僕の頭の銃が貫通したキズはすぐにふさがった。
これで動ける。
僕は金髪に向かって右手を変化させた刀を振り下ろした。
銃は確実に当たる状況までは使わない。
腕か脚を切り落としてからだ。
金髪は上半身を沈ませよけた。
沈ませながら、脚を動かし距離をとる。
コイツ。
格闘技の訓練を受けている。
距離をとられる。
「素人じゃないな、お前」
僕は言う。
「才能あるって言われててんで。喧嘩止められへんくて追い出されたけどな」
金髪の蹴りが飛ばしながら言った。
左手で受けようとした。
はっ、と気付いて腕を引き、後ろへ下がるステップを踏んだ時には遅かった。
左手首より先が飛ばされていた。
吹きだす血。
「・・・仕込み靴って、お前漫画の読み過ぎだろ」
僕は呆れた。
金髪の靴の先には刃物が光っていた。
靴の先に刃物が出る仕込み靴なんて。
スゴイセンスだ。
「・・・憧れやったんや。こういうの」
ニヤリと金髪は笑った。
「こういうセンスだから、そんなシャツ着て平気
で歩けるんだな」
僕は金髪の悪趣味にげんなりした。
でも。
わかっていることは、この蹴りにこの靴はヤバいということだった。
思っていた以上にこのガキは強かった。
どうする?
どうする?
考えろ!
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