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V.S 31
「2対1やでどうする?」
金髪は、切り落とされた僕の腕、付け根以外の部分は刀に変化したものを振り回しながら言う。
背の高い暗い目をした男がナイフを振りかざす。
コイツ・・・金髪より、ヤバいのはこっちか。
気配が全くしなかった。
どうする。
どうする。
武器もなくなった。
しかも二人相手だ。
どうする、どうする。
考えろ。
男の方がゆっくりと近づいてきた。
コイツ。
本当に気配がない。
殺意もない。
その目には何の感情もない。
コイツ、生きてる死体か。
僕はどうすべきか迷った。
その時だった。
銃声がした。
金髪が額を撃ち抜かれて、のげぞった。
男が立ち止まり、僕をほったらかしにして金髪の方に駆け寄る。
また金髪が撃たれる。
僕の腕を握る右腕を、撃ち抜かれた。
金髪が握っていた右腕が、放り出された。
僕はまよわなかった。
右腕が地面に落ちるまえにそれをつかむと、とりあえず走って逃げ出した。
仕切り直しだ。
追いかけようとした男は、また金髪を撃たれて追いかけるのをやめた。
犬か。
ガキと二人でジジイを殺せたか。
屋上から撃ってるんだな。
いい腕だ。
それは認めてやる。
この男は、金髪にベタ惚れだ。
死なないとわかっていても、金髪が撃たれることに耐えられないだろう。
僕なら、死にさえしなければ、ガキが蜂の巣になろうとそのままにしておくけどな。
目的の達成のためにその必要があるのなら。
コイツらの甘いとこはここだ。
この辺につけ込める余地があるはず。
甘さと弱さ。
そこから忍び寄るんだ。
僕は屋上へと走った。
そこに、ガキと犬がいるはずだ。
一旦仕切り直しだ。
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