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V.S 38

 ガキが違う男の腕の中で泣いているのはムカついた。  でも、泣かせたのは僕だという自覚はあった。  イラつきながらも、何故か胸が痛い。  涙を指で、舌で、拭ってやりたかった。  優しく、抱きしめて、背を撫でてやりたかった。 自分がしていることに、これっぽっちも罪悪感はないけれど、ガキが泣くと、何故か胸がいたいし、優しく抱きたい。  泣いてるガキを甘やかして、優しく優しく抱いてやりたい。  ただ、甘くとかして。  悲しいことなんか忘れさせてしまいたい。  僕、ぐちゃぐちゃ泣かれるのが本当に嫌いで、だから、殺してから抱いてきたりしたんだけどな。  ガキに関しては、色々僕はおかしい。  泣かせたくない、とかも、思ってしまう。  それに苛立ちもある。  何故分からない?  今回のことに限って言えば、僕は完全に趣味は関係なくやっている。   今楽しんでしまってはいるが、楽しむために葉っぱ人間達を燃やしているんじゃない。  必要だからだ。  ・・・正義のために。  何故解らない?  何故、解ってくれない?  何故。  苛立ちはつのる。  葉っぱ人間達は簡単に燃える。  普通の草や樹より簡単に燃える。  燃え尽きた。  これでガキも諦めるだろうか。  諦めてくれ。  後で優しく慰めてあげるから。  その髪から、指先から、足の先まで、身体の至る所に優しくキスして、抱いてやるから。  もう、泣くな。  この胸の痛みはなんだ?  僕にはわからなかった。  「お前・・・」  ものすごい怒りのこもった声がした。  ゾクゾクした。  コレ。  この声が聞きたかった。  ノコノコ現れやがった。  「殺す!」  言われて微笑が零れる。  最高だ。  怒りに満ちた金髪が立っていた。  ・・・この顔が見たかった。   この怒りと痛みに満ちた顔。    射精するかと思った。  嫌なヤツを苦しめるのって、セックスくらい楽しい。   

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