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V.S 40

 金髪は怒りにまかせて突っ込んできた。  あの無気味な相方はまだ来てない。  「犬、援護しろ!」  僕は叫んだ。  金髪の蹴りが来る。  仕込み靴は新しいモノに変えられていて、刃がきらめく。  よけたけれど、頬を切られた。  ・・・格闘戦ではこのガキ僕より上だ  認める。  このガキ、確かに天才だ。 だって僕は天才だから。  でも、たった一人で何も考えずに突っ込んでくるのは間違いた。  銃声が響いた。  さすが犬。  即座に援護してくれる。  腕がいい。  金髪の頭が跳ね上がった。  正確に頭を撃ち抜いている。  金髪は倒れた。  そして、しぼらくしてからヨロヨロと起き上がる。    コイツ、僕より回復力が遅い。    前回、犬に撃たれた時に思った。  コイツの回復力は従属者のガキと同じ位だ。  僕なら回復している時間にまだ回復していない。  だから、コイツの相方はコイツが撃たれるのを嫌がったのだ。  コイツが従属者なのかとも考えたが、捕食者の能力は個人差がありすぎるので断定はできない。  とにかくだ。  わかっていることは、犬に撃たせながら攻撃すれば、僕のやりたい放題ってことだ。  やりたい放題の無敵タイムに突入だ。  さあ、楽しもう。  僕は金髪の顔に蹴りをいれた。   脳を撃たれたばかりの金髪は反応できない、無様に吹き飛んだ。  最高の気分だ。   イキそうだ。  右手を刀に変える。  ああ、時間さえあれば楽しめるのに。  皮を剥くのも楽しいし、少しずつ刻むのも楽しい。  しかも、不死身なんだから、いつまでも楽しめるのに。  立ち上がる前に、頭を金髪はまた撃ち抜かれる。  犬の援護はさすがだ。  誉めてやる。  切り裂きタイムだ。  「犬、全く好みじゃないけど抱いてやってもいいぞ、お前最高だ」  思わず軽口も出るってもんだ。  僕は上機嫌だ。  「遠慮する」  犬の声がした。  少し不安になった。  というより結構不安になった。  「冗談だからな、コレ冗談を言ったんだからな」  ちゃんと言わないと。  ガキに誤解されたら困る。  コレ、冗談だから、ガキ、本気にするなよ。   ホント。  お前以外は抱かないから、ホント。  僕は刀を振り下ろした。  金髪の手足を切り落とした。  金髪の両手両脚は、あっと言う間に身体から切り離された。  「うわぁぁ!」  金髪の叫び声がたまらなかった。  苦痛に歪む顔に恍惚となった。  吹き出す血が最高だった。  これで動けない。    お前が捕食者が従属者か解らないが、何、頭が無くなればどちらか解るさ。   従属者なら死ぬ。  僕の右手は銃に変わっていく。  これを頭に撃ち込めば頭が消える。  さあ、お前はどっちだ?  捕食者か?  従属者か?  四肢を切り離され、呻いている金髪は意外と、そそられた。  死体になれば可愛くなるかもしれない。  死体の口に突っ込みたいと思ってしまった。  いや、思っただけだ。  大体捕食者は死体なんかならないし。  こんな公衆便所は勘弁だ。  僕だけしか知らない、僕好みに育てたガキがいいです。  本当です。  ・・・考えるだけでなんで言い訳しないといけないんだよ。  チラリとガキに目をやった。  ガキは銃を構えた犬のそばから僕と金髪をみていた。  ガキは僕を止めなかったけれど、複雑な顔をしていた。  目が唇がふるえていた。  ああ、複雑だろうよ。  お前はこの男が好きなんだろ。  一一あの人を好きになってしまいそうで怖い一一  ガキが金髪について言った言葉。  僕は忘れていない。  胸が冷える。  ガキが深い意味なく、言ったからこそそれが本当だと分かったからだ。  その言葉はな、もうコイツが好きだってことなんだよ。  僕は一刻も早くコイツを消すことに決めた。  お前はこの世にいてはいけない。  「消えろ、ビッチ」  僕が銃を撃とうとした時だった。  地面を突き破り何かが飛び出してきて、僕を貫いた。    

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