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V.S 43

 ポカンと金髪は僕を見ていた。  そして笑った。  ムッとしたが手足を貫かれ吊されている状態じゃ何も出来ない。  また近付いてきた。  「・・・意外と純愛なんやな」  金髪が言う。  感心したように。  僕は顔が赤くなる。  「そんなんじゃない!」  僕は本気で叫ぶ。  「キスしてぇ・・・」  ガキが時と場所を忘れて、僕を見て何か言ってるし。     「前から思っててんけど、お前ホンマは入れる方やろ。この前はコイツに入れさせてたけど」  金髪がガキに言う。  「はい」  ガキが何か言ってる。  いや、お前は穴。  恋人だけど穴だから。  金髪が笑った。  「・・・チンピラ、お前、意外とおもろかったわ。でもそれとコレとは話は別や」  僕を見て言った。  そしてガキをちょっと切なそうに見つめた。  「残念や。自分、殺したなかったわ」  「オレもです」  ガキと金髪は仲の良い友人同士のように言い合った。  ゆっくりと金髪がやってくる。  ガキが犬から借りたデカいサバイバルナイフを握りしめる。   お前が行く気か。  金髪はお前のことを気に入っているが、ためらいも無く首を切り落とすだろう。  あの仕込み靴で。    金髪が来る。  ガキが集中する。    金髪がもう一歩踏み出した。    グラリ、金髪は倒れこんだ。  足元の土がなくなって。  落とし穴だ。   穴の上に新聞紙を引き土をのせていた。  簡単な偽装だが、戦闘中ならそれで十分だ。  ずっとお前がこの穴に落ちるように誘導し続けていたのをお前気づかなかっただろ?  僕はお前の攻撃をよけながらここに誘導していた。  まあ、その時は上手くいかなかったけど、結果的にお前は嵌まった。  文字通り。  ガキが服を探したりしている間に犬に掘らせた。  そんなに深くはない。  こんな仕掛けしかつくれなかったが、一瞬隙を貰えるだけで十分だ。   ガキには教えなかったのは、顔に出すからだ。  コイツはなんでも顔に出す。    何の仕掛けもないのに、おびきよせたりしないでしょ、普通。  「犬!」  どこかに隠れているだろう犬に、僕が叫ぶ前に、両手両脚、そして腹を貫いていた根が撃ち落とされた。    僕は宙吊りから解放され、地面に着地する。  やはり犬。  お前の腕はいい。  「落とし穴って・・・そんな子供やあるまいし」  呆れたように金髪は穴に尻餅をつきながら言っていたが、顔色を変えた。  穴の底にはビニールを敷き、液体が入れられていたからだ。    揮発性の香り。  金髪もすぐにそれが何かわかったはずた。  飛び出そうとした時には、僕が犬からかりたオイルライターをその穴に投げた後だった。  「お前も焼かれてみるんだな」  僕は言った。    ボン  火は簡単に付いた。  

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