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V.S 44

 「ザマーミロ!」  僕は楽しくてたまらない。 手を叩いて喜んだ。  絶叫して火に包まれる金髪。  最高だ。 たまらない。  コイツはこんなものでは死ぬわけがないが。  だが、僕の気は済む。    炎に包まれ燃える金髪は最高に面白かった。  だが、金髪の相方は動こうとしない。  樹にもたれたままじっとみている。  そんな馬鹿な。    金髪が撃たれるのも嫌がるヤツだぞ。  それは、金髪が燃えてすぐに起こった。  ドシャ   ドシャ  ドシャ  地面を割り、たくさん根が飛び出す。  そして、瞬く間に伸びる。  それらは瞬間で、燃える金髪を包みこんだ。  金髪か見えなくなるほどに。  あ、そうか。  僕はわかった。  密封して酸素を奪い火を消したのだ。  繭のような根の集まりが宙吊りになっていた。  そして、根がほどけ、金髪が再び姿を表す。  火は消えていた。  短い間だったため、それ程ひどいことはなっていない。  まあ、人間だったら大怪我だろうけど。  ・・・最悪だ。  なぜなら、もう仕掛けはないからだ。  コイツらの能力はわかった。  樹を操る能力。  でも、それに対して、どうやって戦えばいいのかの答えが僕にはまだないからだ。    「ホンマ、このチンピラ・・・前言撤回するわ、お前全くおもろないわ!コソコソ企んでばかりいやがって」  金髪が怒鳴る。  根は金髪を囲むように蠢いている。  操っている根はこれだけなのか?  それとももっと操れるのか?  他の根が地面を割飛び出してくる可能性も考えないと。  金髪の赤くただれた皮膚が再生していく。  服も焦げてはいるが、まだ服としての役割は果たしている。  散々男を咥えて、使い込まれた身体を拝見してみたかったけどな、残念。  いえ、そういうのじゃない。  これは浮気じゃないよ。  チラリとガキを見てしまう。  ガキは僕の前に僕を守るように立っている。  どんだけコイツに思考を縛られてんだ。  自分でも呆れる。    「お前は根だけに集中しろ。アイツの相手はお前には無理だ」  僕はガキに言った。  「わかった」  ガキは頷く。    ただ、これだけすごい力を持っているのに何故今まで使わなかった?  発動させるのには何か条件があるはずだ。    「死ねや!」  金髪が叫んだ。  金髪を囲んでいた根が僕に向かってものすごい勢いで伸びてきた。  ガキがナイフでそれを切り払う。   金髪は根と同時に突っ込んできた。  蹴りが僕の顔に向かって伸びてくる。  その靴のつま先には鋭い刃が光る。    

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