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V.S 45

 僕は金髪の蹴りをサイドにステップしてかわす。  しかし、前蹴りから、踵をつかった後ろ蹴りに変化して金髪の蹴りは執拗に追ってくる。  もちろん、その靴の踵には仕込み刃がついている。  金髪の脚の下を身体をががめてすり抜ける。  刃はよけた。   でも痛みが走った。  ぐちゅ  根が僕の頬を右から左に貫通した。  見えない角度から飛んできたのだ。  身体が貫かれたまま、引っ張られた。  ガキが斬りそこなった根が、僕を攻撃したんだ。  手で引き抜く。  血がこぼれる。  顔に穴が空いたが、何すぐに塞がる。  引き抜いた根が僕の手に絡みつく。  その根を僕に攻撃してくる金髪の靴の刃を利用して切る。  手に残る根を放り捨てる。  「避けんのは上手いけどな、逃げてばかりやったら、いつか捕まるで」  金髪が笑う。  確かに。  ガキも必死で根と格闘している。  ナイフを振り回し、僕へ伸びる根を斬っている。  金髪も根も、狙いは僕だった。  まずは僕から、ってことか。  金髪と根に同時に攻撃されたら・・・避けれないな。  確かに。  根は金髪の動きをサポートするように動く。  素晴らしいコンビネーションだ。   自分が攻撃しながら、根をこれほどまでに操るなんて・・・。  攻撃が止んだ。  「そろそろ、本気で行くで」  金髪が笑った。  手を打ち鳴らした。    ドシュ  ドシュ  ドシュ  地面が割れた。  大量の根が現れ、立ちそびえる。  しかも、その高さは5階建ての建物位あった。  まるで、ジャングルのように根はそびえたっていた。  蠢く根の群れ。  「距離は関係ないで」  金髪の言った意味がわかった。  根をどこまでも伸ばすことさえできるんだ。  コイツの能力は。  こんなにも。  大量の根は重なり合い、そう、葉っぱ人間達が集合して出来た触手の化け物のような姿になった。  いや、あの触手の化け物よりもはるかに大きい。    「こんなの、どうすれば・・・」  ガキがナイフを取り落とした。  そう、確かにもうナイフなんかきかない。  巨大な化け物を従え、金髪は笑っていた。    グシャア  根の化け物がこすれあい、声のような音を立てた。    巨大な口が根が重なり合い形成される。     グシャア    口は空に向かって咆哮した。

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