127 / 151
V.S 47
ぎしゃぁ
ぎしゃぁ
咆哮をあげて巨大な化け物が、巨大な口を開けて僕へと向かってくる。
土煙があがる。
僕は突き立てた中指を、金髪のずっと背後でボンヤリとこの様子をみていた金髪の相方へ指し示すように動かした。
それが合図だった。
「撃て!犬!」
僕は叫んだ。
どこかに隠れたままの犬が、僕の命令通り金髪の相方の頭を撃ち抜いた。
バンバンバンバンバンバン
6発以上は撃ち込んでいた。
相方はボンヤリしたまま身体を衝撃に何度も震わせ、地面に倒れた。
こんな銃程度のダメージなんかすぐ治る。
でもそれはどうでもいいんだ。
根の化け物はピタリと止まっていた。
やはり、動かしていたのは金髪じゃない。
捕食者は相方の方だ。
「手ぇ出しなや、サシでやる」
その金髪のセリフからもう奴らの作戦は始まっていたのだ。
相方が見ているだけのように思わせることが必要だったのだ。
能力発動の条件。
おそらく、樹に直接触れること。
そして根を動かしている間は無反応、無防備になってしまうこと。
金髪が根を操っていると思わせていれば、相方が無防備であることに気づかれにくい。
だから金髪が操っているように思わせた。
だから、金髪が燃やされても、相方は何の反応もしなかったのだ。
だから金髪の攻撃をフォローするように根は動けたのだ。
今、撃たれた衝撃で樹から離れ、能力は消えて、根の化け物は止まった。
今だ。
僕は走った。
金髪が僕に向かって蹴りを放つ。
僕は身体でそれを受けた。
腹が避裂ける。
中身が飛び出す。
でも、抱きついた。
チャンスは作った。
「撃て!」
僕はガキに叫んだ。
ともだちにシェアしよう!