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V.S 49

 金髪が笑った気がした。  僕の腕の中で。  金髪の頭は膨れ上がり弾けた。  水風船のように。  この弾は捕食者の肉片が入っていて、捕食者ならば自分以外の捕食者の肉体への拒否反応で、身体を動かせなくなる。  従属者ならば、頭にこの弾を打ち込まれたら拒否反応に耐えられず、頭が弾き飛び死ぬ。  だから、本当は従属者だった金髪の頭は吹き飛んだのだ。  赤い血が宙に広がる。    シャワーのように血や脳髄が暖かく、降り注ぐ。  暖かい身体がイク時のように僕の腕の中で痙攣した。  僕は大嫌いな男の身体を強く抱きしめていた。   まるで僕がイカせたように、その身体は痙攣した後、脱力した。    「往ったか?」  僕は優しく囁いた。  ・・・死体になったら、お前は結構可愛いな。  首なんかなくてもさ。  僕は一瞬強く、その身体を抱き締めた。    「・・・お前が死んで嬉しいよ」  それは心からの言葉だった。  そして、お前を殺したのがガキじゃなくて犬なのが良かった。  罪悪感、人を殺した嫌悪、なんであれ、お前がガキの中に特別な形で残るなんて許せなかった。  「・・・ああ、やっぱり死んでても僕お前のこと嫌いだな」  僕は死体を突き飛ばした。  死体は地面に転がった。      

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