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記憶24
それは至福の時間だった。
走り出し逃げ出す者がほとんどだったが、逃がしたりなどしない。
ボクは根だった。
身体ではなく、根を通してその感覚を味わっていた。
逃げ出す男の脚に絡みつく。
引き倒され泣き叫ぶ男の手足に巻きつき、肉が潰れ、千切れるほどに締め付けた。
ぶちっ
肉が潰れる音とともに、血は吹き出し、手足は身体から離された。
それはリズムだった。
躍動する殺意だった。
流れだす血液さえ、メロディだった。
ダン
根はそいつらの腹を貫く。
ダン
目を突き破り、脳を掻きまわす。
ダン
口から背まで突き破る。
そのリズムの軽快さに、その官能に、ボクは酔いしれた。
リズムは身体の奥の快楽を呼び起こす。
そのリズムはボクのソコが立ち上がるほどの快楽だった。
おびただしいほどの血の香りに酔いしれた。
肉をちぎり、骨を砕く感触を甘く味わった。
苦痛に蠢く身体、千切れるたびに震える身体の感触は、まるで収縮する孔の中にいるような快楽だった。
悲鳴は甘く、まるであの時の嬌声よりも甘く耳からボクを溶かした。
殺戮は快楽だった。
凄まじく気持ちよかった。
何度も何度も貫いた。
根で貫くことも、アレで貫くことも変わりなく、穴に入れるよりも、穴を空けることの方が強烈な締めつけがあった。
何より、人の苦痛こそが脳をしびれさせるほどの・・・快感だった。
気持ちよかった。
殺し尽くした後、ボクは射精した。
今までで一番気持ちよかった。
あんなに愛しているアイツの中でした時よりも。
でも、その後、ボクは気付いてしまった。
殺しきれていないことに。
まだいた。
死んでいなかったモノが。
わずかに声をあげ、身動ぎしたのは・・・。
アイツだった。
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