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記憶26

 「アンタ分かってへん、ボクがどれだけ酷いことしたいんか分かってへん!!」  ボクは怒鳴った。  もう、抑えられなかった。  ボクの手はアイツのシャツを引き裂いた。  頭の傷以外は、ケガはなかった。  アイツは笑った。  「・・・分かってるで。酷くされるんは嫌いやない」  それは睦言のように甘く囁かれた。  ボクには分かっていた。  アイツはボクの心が傷つかないようにそう言ったんだと。  楽にさせるために殺しても、なぶり殺しても苦しむボクのために。  残されるボクが罪悪感で苦しまないように。  自分が望んだことでボクが許されるように。  でも、その言い方も微笑みも扇情的で、ボクはもう止まることなどできなかった。  ズボンをひきずりおろし、慣らしもせずに無理やり突っ込んだ。  アイツは声を上げなかった。  ただ息をのんだだけだ。  ボクが後で思い出して苦しまないように。    「・・・デカいのは嫌いやない・・・」  減らず口さえ叩いてみせた。  ボクは構わず動いた。  ただがむしゃらに、ただボクが気持ち良いように。  無理に挿れられたそこが裂け、出血し、血がすべりを良くするのが良かった。  苦痛に強張る身体が良かった。  愛しい指を咥えた。  舐める。  この指が好きだ。  生まれて初めてボクに伸ばされた指。  ボクはそれを歯を立てて食いちぎった。  アイツが、僅かに声をあげた。  歯を食いしばる顔。    愛しい。    一本ずつ咥え、くいちぎりながら、アイツの中を味わう。  「・・・お前は悪ない。お前はホンマやったらこんなことせんからや。お前は悪ない」  アイツは言う。  苦痛にたえる顔が、快感に耐える顔に似ていて煽られる。  苦痛を与えるために、締めつけられるのがたまらなかった。  快感じゃなくても、ここは蠢くのだと知った。  「お前はオレを傷つけてへん」  右手の指を全て噛み切られてもアイツはそう言う。  その目はそれでも優しかった。  愛しい。     奥に放つ。  最高だった。  殺し尽くした後よりも最高だった。  愛しい身体からの苦痛は何よりも良かった。  ボクは声をあげてイった。  イくのが止まらない。  身体を震わしイった。  アイツには苦痛しかなかっただろう。  でも、ソレが良かった。  すぐにまた動く。  何度も優しく、唇に口づけた後、ボクの大好きな胸の突起にも口づける。  舐め、吸い、良く味わった。   そして、乳首に歯を当て、噛みしめた。  アイツは苦痛に身体をこわばらせる。  それがたまらない。  アイツの苦痛がたまらなく気持ちいい。  苦痛を受信する器官がどこかにできていて、それが性器のように感じさせるようだった。  乳首を、噛み千切る。  乳首を吐き出した。  血が溢れる胸。  それがエロチックだった。  素晴らしい締めつけが気持ちよかった。  奥を味わい、思うがままに擦りたてる。  ただの苦痛でしかないそれを、アイツは耐えていた。    「気持ちええか?」   アイツはボクに尋ねた。  静かで優しい目だった。  「気持ちええ・・・もっと、もっと欲しい」  ボクは呻いた。  「そうか・・・好きにし」  アイツは微笑んだ。  まだボクが食いちぎっていない左手がボクの頬を撫でる。  ボクはその手を掴んで、アイツを引き寄せ、その喉を舐めた。  ここも好き。  ボクのモノだ。  跡がつくまで吸う。   「お前はオレのもんやから、お前が欲しいもんは何でもやりたい。・・・でも、お前、こんなになってもオレ以外欲しがらへんのやなぁ・・・」  その言葉にはボクが与えている苦痛以外の痛みがあった。  「好きにし・・・もうオレがお前にしてやれるんは、こんなこと位や・・・オレがおらんなったら、次はちゃんと・・・」  ボクはその言葉の続きを聞くべきだったのだ。  その言葉の先にボクが愛していると言う度に、遠い目をするアイツの答えがあったのに。  ボクはアイツの喉に歯を立て、その喉を食いちぎりながら達していた。    

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