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王国の終焉4
駆け寄ってガキを抱きあげた。
首は半ば程くっついている。
触手がうごめくように繋がっていく様子は正直気味が悪いが、今回ばかりは何でもいい。
ガキが何か言いたそうな目で僕を見ていた。
「まだ喋れないから、話すな」
僕は言う。
まだ身体が震えている。
こんなに怖かったことはなかった。
ガキがまだ繋がりきれず首が90°に曲がっている癖に、僕を見て笑った。
なんだ、その、嬉しそうな顔は。
見透かされているのが気に入らない。
ああ、そうだ。
お前がいなければ全てがどうでもいいと思ったよ。
ああ、確かに。
「早く首を繋げろ。抱きたい・・・」
僕の言葉にガキは微妙な顔をした。
「お前、僕を抱く気か!」
どうやらそのつもりだったらしい、
「ない。ないからな!」
僕は怒鳴った。
でもいい。
こんなやりとりでもいい。
嬉しかった。
僕はこっそり涙を拭った。
男の胴体は、ビッチの隣りに並べておいてある。
首がなくても動く捕食者はいるが、男は違ったようだ。
首がなくても死なないが、動きはしない。
後数回、銃で撃つ必要がある。
次撃つのに10分かかる。
僕の銃は一度撃つと次まで時間がかかるのだ。
最低でも全て消滅届させるのにあと40分程ほかかるだろう。
最低でも。
男を消滅させるより、ガキの首が繋がる方が早かった。
座ったまま抱き寄せて、キスをする。
唇を割り、その舌をむさぼる。
「ダメだよ・・・スーツがいるし・・・」
ガキがキスの合間に言った。
「キス位いいだろ・・・」
僕は気にしないから、お前も気にするな。
そう言いなからも溶けてるくせに。
可愛い。
僕のガキ。
怖かった。
死んだかと思った。
だから確かめさせて。
その身体の隅々まで。
とにかく今はキスだけでも。
「すまない」
咳払いがした。
犬め。
でも今回ばかりは・・・お前に貸しが2つもできたことだし。
犬はガキのために2つのことをしてくれた。
僕がスーツの部下を殺すように要求したことを言わなかった。
あの金髪をガキの代わりに撃った。
ガキの傷にならないように。
貸しだ。
感謝はしている。
僕だってガキが傷つくところを見たくはない。
ただ、ガキに必要以上にはこれからも近寄らせない。
「なんだ!まだ次の銃を撃てるまで時間がかかる。キス位させろ!」
僕は怒鳴った。
ガキはこれ幸いと真っ赤になった離れてしまった。
「まだ二人樹化人間がいるはずだ。確保したい」
そう言えば女の子と爺さんがいたな。
「お前一人でなんとかなるだろ」
捕食者や従属者ならわかるが、葉っぱ人間位なんとでもなるだろ。
「俺は行く」
ガキがたちあがった。
ガキはあの女の子が気になるらしい。
手を繋がせていた女ってのはソイツか。
イラっとして僕も立ち上がる。
何なら殺さないといけないから探す。
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