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王国の終焉8

 言っておこうと思った。  大事なことだから。  「俺を元の世界に返してやれないって思ってるんだろ。違うから。俺がもう帰らないんだ。俺はあんたといたいから」    あの人の目を見て言った。  あの人の目が潤んだ。  涙をこらえる子供の顔。  ずっと僕より大人なくせに。  時折子供みたいな顔をする。  まあ、子供は穴に突っ込んだりしないけど。  そんな俺の恋人を愛しいと思った。    あの人が俺に覆いかぶさり、俺の肩口に顔を埋める。  何コレ。  めちゃくちゃ可愛い。   抱きしめる。  「愛してる」   その耳元に囁く。  「うん」  あの人が頷く。  そこは「愛してる」と返して欲しいけど、この人相手にそこまで要求する方が無理がある。  「  」  耳元で名前を囁かれた。  ダメだ、ヤバい。  穴がキュッと締まる。  挿れられたままのそれを痛感してしまう。  「・・・このままだと俺、ツラいんだけど・・・」  俺はあの人の髪を撫でながら言う。  あの人が笑った。  「満足させてやるよ・・・」  悪い顔だった。  「いや、程々で・・・」  俺の意見は聞き入れられなかった。  もう一回だけ出すだけって話だったのに、気を失うまで、やられたのだった。  ただ、何度も何度も名前を呼ばれて。  ・・・もういいかって思った。  俺が分かっていればいい。  あんたは俺を愛している。  絶対にあんたは認めないけど。

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