自覚するようになったのは入ってから数ヶ月経ってからで、部の中心にいた大樹先輩と一緒にいるうちに徐々に他の人達とも軽く会話に混ざる程度ではあったが、馴染めるようにはなっていた。 しかし、大樹先輩が他の部員と話していたり 楽しそうな姿を見ていると、自分の醜い嫉妬や独占的な心が生まれてきていることに気づき、そんな自分に自己嫌悪する。 そんな感情を抱いたとこで大樹先輩にはいい迷惑にしかならないし、叶わないはずなのに自覚した恋心は膨れ上がる一方で、この先の自分が途端に怖くなった。 「それは····」 理由なんて一つしかないのに歯切れの悪い返事しかできない。『バイトが忙しい』などと言っては本人を納得させるような適当な嘘をつくことだって出来たが、大樹先輩に嘘をつくなんて罪悪感が残るような気がして出来なかった。 「俺はまた渉太と天体観測しにいきたいと思ってんだぞ」 提げているショルダーバッグのストライプを握る手に力が入る。 「あ、はい·····」 きっと大樹先輩に深い意味は無いと分かっていても、嬉しくて顔が緩みそうになった。しかし、我慢するように口を頑なに結んでいたせいか、大樹先輩に「そんな嫌な顔すんなよー」と誤解される。「そんなことない」と誤解を解きたかったが、先輩はすぐに「まあ、いいけど」と笑っては自分の態度に差程気にして居ないようだった。