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もう少し好きとか関係なく自然に関われたらと思うが、隠せない想いがあるだけに踏み込んだらと思う怖さが勝って距離を置きに行ってしまう。
「そうだ、今晩サークルのヤツらと飲み会あるんだけど渉太もこないか?」
まさか自分がそう言う集まりに誘われるとは思わなく。きっと先輩はご厚意で誘ってくれてるにしても普段から顔を出さない奴が急に現れた所で、社交的では無い自分は浮くだけ。
「俺、行ってもきっと厄介者になるんでいいです」
「そんなこと言わずに。これを機会に他のやつとも仲良くなるかもしれないだろ?」
「でも·····」
「俺が隣にいてやるし、大丈夫だから。それに、うちの奴いい子ばかりだからさ」
先輩が隣りに···。
そんなの渉太にはこの上ないくらい幸せな夢のような光景。
昨夜のラジオで律が好きな人には積極的に行動した方がいいと言っていたのを思い出す。
「少しだけなら·····」
その言葉に後をしされたように渉太は誘いに乗っかる返事をしてしまった。
大樹先輩は渉太の返事を聞くなり、ニーッと歯をみせて笑顔になると肩を軽く叩いてきた。
「よし、決まり。講義室終わったらここの前集合な。ちゃんと来いよ?」
ただ好きな人に気待ちを気付かれたくなくて顔を出さないサークル。
それでも辞めないのは、何処かで先輩ともっと近づけたらという期待があるからだ。
ただ居ればいい。律のアドバイスに乗っただけ。別に今後を期待する訳じゃない。今日だけは少しだけ羽目を外すしてもう少し好きな人の隣にいてもいいだろうか···。
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