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ホテルで向かえた朝
カーテンの隙間からの日差しに目が覚めては
徐に目蓋を開くと、見慣れない天井に渉太は
勢い良く起き上がった。重たくズキズキする頭を抑えながらも明らかに自分の部屋ではない場所だと認識した。
辺りを見渡すが、誰かの家というわけでもなさそうだと思ったのが人が住まわっているような家具がなかったからだ。
あるのは薄型テレビと少し腰をかけて食事ができそうなテーブルと椅子にドレッサー。
ベッドサイドのテーブルにはきっと此処は何処かのホテルなんだろか·····フロントに繋がるであろう電話があった。
しかも、ホテルだとしたら自分が今まで泊まったことのないような広い部屋。
ふと、肩口に肌寒さを感じ、掛けていた方まで持ってきては妙な肌触りの良さを感じて、布団を捲ると自分の身につけている洋服が下着1枚だけなことに気づいて絶句した。
自分がいつ何処でどんな状況でこうなったのかなんて思い出せない。状況が読み込めず、渉太はパニックを起こした頭で記憶を整理した。記憶に新しいのは夜にサークルの飲み会。
なかば蚊帳の外の飲み会で部員の騒がしい声から大樹先輩に彼女いるって分かって·····お酒を呑んで·····それからの記憶がない。
「ん·····」
経緯を思い出そうと頭を抱えていると、隣のベッドから人の気配がして渉太の身体がビクリと跳ね上がった。
確実に自分の他に誰かも一緒に泊まっている·····。
現状から自分は酔い潰れて誰かが介抱してくれたんだろうと推測はできた。
そして、今そのベッドの気配の人がまさにその人なんだろう。しかし、自分にはそんな面倒見のいい友達なんか、いた覚えがなかった。
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