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「なんでもない。ちょっとお腹痛くなっただけ」 御手洗に逃げ込めてしまえば、なんとか誤魔化しが利くが、そのまま立ち上がってしまえば、前屈みになっていたとしても日野達にバレて揶揄われるのが目に見えていた。 助けて欲しい··········そう念じては前を見据えてる尚弥をじっと見ていた。 その念じか功を奏した尚弥がニコリと微笑んで来たので想いが通じたのかと安堵した。 「渉太大丈夫?顔赤いけど··········僕が触ったのがいけなかったかな?」 「··········っ!?」 尚弥なら自分のことを庇いながら上手く誰もいない所へ連れて行ってくれる。 そう信じて疑わなかったのに、彼の口から出たのは周りの野次馬の興味をそそらせるような言葉だった。 「触るってなんだよ」 案の定、日野が机に前のめりになりながら食いついてきた。 尚弥は屈んで自分と同じ目線になると耳元に息を吹きかけてきては渉太の背中がぶるっと震えた。 「ひっ。違うっ」 好きな人だから、身体が自然と反応してしまう。何されても嬉しいと体が喜んでしまう。 こんなの嫌だ··········。 たったそれだけのことなのに、尚弥の雰囲気と俺の反応で読み取ったのか日野の口角が上がったのが分かった。 「もしかして、お前.......勃ってんの?」 「ち、違うよっ。お腹痛いだけだから。ほっといてほしい」 首を大きく左右に振り懸命に否定をするが、日野の様子を見るからに全くもって信じていない。 「嘘つけよ」 日野は「おい、渉太を抑えろ」佐藤と岡本 に命令しては、二人もノリノリで渉太の膝の上の腕を無理やり解こうとしてきた。 完全に見世物にされるのだけは避けたい。 こんな大勢に人がいるのに·····尚弥だっているのに·····。

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