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「尚弥·····どうして皆の前であんなこと言ったの?」
「なんか、もういいかなーって」
「えっ·····」
何がいいのかが分からない·····。
やっぱり尚弥は何を考えているんだろうか·····。
ミステリアスで魅力的な反面、何を考えているのか分からないこそ怖くもある·····。
「僕さ、何故か男にもモテるんだよね。
渉太には言ってなかったけど思わせぶりな態度とって自分に惚れてく奴が面白くてさ、遊んでたの」
一年の時に音楽室で見た、尚弥が殴られていた姿。その時に何があったなんか詳しく聞かなかった。
ただ単純に尚弥の何かが気に食わなくて、理不尽なものから口より先に手が出たと言ったところだろうと勝手に思っていた。
尚弥の話からすると、あの日の男は尚弥を好きになったが振られてしまったと捉えることができる·········。
尚弥がそんな人の気持ちを弄ぶようなことするのだろうか。本人を目の前にしているのに信じ難がった。
「叶わねーのに本気で向かってくるの哀れじゃない?振った時の絶望した顔がおもしろいんだよね」
すると、尚弥は眉を下げて小馬鹿にしたように鼻で笑うと渉太に問いかけてきた。
その尚弥の態度に渉太の頭は混乱していた。
悍ましく、人が変わったように饒舌に話し出す尚弥。
「渉太も面白かったよ。あのまま日野達に意地悪されてたらもっと面白かったかも」
「なんで、尚弥·····俺が告白したとき嬉しいって言ってたのって、嘘だったの?」
「本当だよ。渉太は結構可愛いから渉太に好かれるのは悪くはなかったよ」
「じゃあ·····」
「だけど、僕は渉太を好きだとは言ってない。」
「でも、尚弥は俺と楽しそうに律の話してただろ·····?」
「ああ、渉太の話に合わせるため?渉太、異常に律の話するからさ。前の曲は好きだったけど正直今は興味ないよね。この間のアルバム聴いて思ったよ。最近なんかつまんない曲書くなーって。ほんとアイドルはやっぱ顔だけだね」
「··········」
好きな人から自分のみならず、好きなものまで否定されている事実。
自分の中の尚弥のイメージが悪い意味で崩れされていく。あの物静かで知的で、俺の話をよく聞いてくれる優しい尚弥は目の前にはいなかった。
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