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そんなにキツくない、寧ろ心地がいい香りであれ程に悲鳴を上げていた傷が癒えていくようなそんな感覚がした。
まるで動物を宥めるように規則的に撫でられる度に次第に興奮した心も落ち着いていた。
「渉太はどうしたいの?」
「えっ·········」
撫でられていた手が止まり、律仁さんに問いかけられて顔を上げる。
普段は冗談ばかり言って自分を煽ってくるくせにこうゆう時は笑顔一つない表情をしてくる。
別に眼鏡の奥の瞳から圧を感じたりその表情から怯えたりとかではなく、今目の前の自分に対して真剣なのが伝わるから、自分のことを今更隠してはぐらかしたいなんて思えなくなる。
「そいつのせいでこの先もずっと苦しんだままでいたい?」
どうしたいかなんて決まってる。
だから話した。
泣きそうになりながらもこの人に·····。
「前向きたいです。恋とか愛とか考えずに人並みに純粋に楽しく過ごしたい··········」
塞ぎ込むだけじゃダメだと分かっていたから、自分のこれまでのことを見つめ直す為にもこの人にならと話した。
「良かった。俺も渉太にはそうやって塞ぎ込んでほしくないって思っていたから。
渉太が勇気だしてせっかく大学に飛び込んだんだから渉太に楽しい学生生活送ってほしいな·····って」
律仁さんはふーっと息をついては、肘を膝の上で伸ばして肩の緊張を落とした。
「渉太を酷い目に合わせた奴がいたとしてもそれ以上に渉太のことが真剣に好きなやつもいる。渉太の告白を想いを笑ったやつが居ても真剣に聞いてくれるやつもいる」
心の奥底に自然と入ってくる律仁さんの言葉。自分を大丈夫にさせてくれる。
不思議とラジオでアドバイスをくれた律と重なって、まるで律に言われているみたいな感覚がした。
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