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「天気良くなって良かったですね」 レンズから目線を離れると真横で双眼鏡を持ちながら空を眺めていた大樹先輩に話しかけた。 望遠鏡を貸している間も眺めているなんて大樹先輩は本当に熱心なんだと思う。 そんな憧れの好きな先輩と同じ空を隣で眺めてられているのは嬉しい。 「ホント、日中雲ってたから今日はダメだろうなーってあんま期待はしてなかったからさ」 晴れたとはいえ見えやすいのと見えにくいのが疎らで全て見つけ出すのは大変だが、一等星は見えるくらいだった。はくちょう座、こと座、わし座は見つけられた。大樹先輩も「でも、ちょっと早かったのもあるかなー」と呟いては少し残念そうにしていた。 「あの、彼女さんは・・・」 大樹先輩と二人きりで話せてはいるものの、渉太は先輩の彼女の存在が気になっていた。 嬉しいけど、やっぱり少なからず申し訳なさはある。自分が切り出そうとしていることは彼女さんが戻ってきたら目の前で話せるような内容でもないし·····。 「ああ、ちょっと疲れたから休んでるって」 「そうなんですか」 しばらく戻ってこない様子だと分かると渉太は少しホッとした。 「星見てるとさ、彼女放ったらかしで夢中になっちゃうんだよなー。彼氏失格だよなー」 「そんなことないと思います·····」 きっと興味のない人にはただ星を眺めて終わりで、星や星座、形を見つけては、 見えにくい星を見つけることができて気持ちが昂る人なんて早々いないんだろうなー·····。 特に部員でも女子は少ない方だから、案外男性の方がロマンチストなのかもしれない。 「ありがとう。でも、嬉しいよ。渉太が来てくれたから沢山の星座の話ができる」 唐突の「渉太が来てくれて嬉しいよ」に深い意味はないのは分かっているのに、胸がキュンとなってしまった。好きな人から必要とされて嬉しくないわけがない。

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