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律仁さんとの距離

数日経っても完全にふわふわと宙に浮いているような気分だった。 まだ夢を見ている見たいで、確実に時間は流れているのに自分の気持ちはまだ止まったままのような。 興奮が冷めやらない。 あの憧れの律と握手ができた。 それだけじゃなくて向こうも自分のことを認識しているようだった。認識されなくてもいいなんて思っていたがいざ、覚えてもらえていると分かると嬉しかった。 この嬉しさを誰かに話したくて、真っ先に浮かんできたのは律仁さんだった。 律が覚えててくれたのは紛れもなく律仁さんのお蔭。 律仁さんの人脈がなかったら唯の一般人なファンの俺にサインを書いてくれるなんて有り得ないことだし、律の印象にも残らなかっただろうから……。 律仁さんに助けられたり、勇気づけられたり、してもらってばかりだから、何か自分が出来ることでお返しができないかと考えていた。 律仁さんって何が好きなんだろう。 天体も、きっとあの日一緒にいたくらいだから嫌いではない気がする。 かと言って大樹先輩のように無我夢中になり、熱く語るほど好きではないだろう。 御礼の品物をあげるにしては、渉太が持っている律仁さんの情報は少なすぎた。 かといって唯一自分が知っている、律仁さんの友達の大樹先輩経由で訊くのも、先日茶化されたことがあるだけに、自分が熱心に律仁さんを気にしているみたいで恥ずかしくて訊けなかった。 あくまで御礼がしたいだけだから……。

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