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だけど、拒絶したい訳じゃない。 律仁さんが自分に好意を向けてくれている。自分もそれに真剣に応えたい……。 律仁さんなら大丈夫だって信じたい……。 徐々に近づいてくる、律仁さんの顔。 緊張で乾燥する唇を固く結んでは強く瞼を閉じる。きっと触れ合ってまえばどうとでもなる。 渉太は律仁さんの近づく距離に甘い匂いに、心拍数を上げながらもじっとその時を待っていた。 「びっくりさせてごめんね」 額に律仁さんの唇が軽く触れた気配がしてパッと目を開けると頭に優しく手を置かれては、律仁さんは離れていった。 ホッとしたと同時に何処か寂しさに追われる。 律仁さんは俺から身を引くと、テーブルに置いてあった缶に再び口を付け始めた。 何処か哀愁を漂わせる律仁さんに渉太は体勢を整えてその場に正座をする。 俺はまた律仁さんをガッカリさせてしまったんだろうか。 「あの、すみません。俺……律仁さんを拒絶してる訳じゃなくて……」 「大丈夫、気にしないでよ。渉太が可愛くて、少し触れたくなっちゃっただけだから。こっちこそごめんね。渉太の気持ちがもう少し俺に向いてくれるまで待つよ」 頬を赤くさせながら優しく微笑まれて、余計に良心が痛んだ。 「俺、風呂入ってきます。律仁さん、俺のベッド自由に使ってください……」 その痛みと沈黙に耐えきれずに、部屋を出ると風呂場にそのまま逃げ込んだ。 渉太は風呂場の扉を伝いながら膝を抱えてはしゃがみ込む。 未だに心臓の音が煩く鳴る。 律仁さんと前に進むことがそういうことも意味をしてくるのは分かってる。 分かってるし、律仁さんとなら嫌じゃない。 だけど、やっぱり怖い。 渉太のキスの思い出が苦くて辛いものとして残っていたから怖気付いてしまう。 その先へと進んでしまったら後は律仁さんの関係がこのまま壊れてしまうような気がして……。 だけど、律仁さんの寂しそうな顔も見たくなかった。

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