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一度気持ちを落ち着かせるために洋服を脱いでシャワーを浴びた。 逃げるように出てきてしまったことへの気負いをしながら、戻ったらなんて言おうかと考えていた。 自分が謝ったら律仁さんに余計に気を遣わせてしまうような気がする。 律仁さんは待つよと言ってくれた。 少しずつでいいから律仁さんに近づいていきたい。それまで律仁さんは呆れずに待ってくれるのだろうか。 律仁さんが「気にしないで」と言っていたように余り意識することなく、自然に接するべきだという結論がでてから、漸く渉太はお風呂場から出ては、部屋着に着替えると意を決してリビングの扉を開ける。 すると、そんな渉太の決意は虚しく、律仁さんはクッションを枕にして絨毯の上で眠っていた。 渉太は自分のベッドから掛け布団を一枚引き抜いては律仁さんに掛ける。 仕事終わりだったみたいだし疲れていたんだろうなと分かるくらい、律仁さんから寝息が聞こえてくる。 こうやって無防備な姿の律仁さんは初めて見たかもしれない。 眼鏡が額にまでズレれていて、普段見ることのない眼鏡のない彼の姿が顕になる。 寝顔からでも分かる整った顔立ち、何処か可愛らしいさもあって律仁さんってこんな顔だったのかと改めて感心していた。 いつもは眼鏡をしてるし、帽子も深く被ってるときもあるから今まで顔をちゃんと見ているようで見ていなかったかもしれない。 ついついずっと眺めていたくなるような姿に、渉太はふと、どこかで見たことがあるようなアングルが目の前にあることに気がついた。

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