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あんな学生時代は自ら行動を起こすようなタイプじゃなかったから、食事に誘ってきた藤咲に驚いたと同時に不信感を抱く。 律仁さんとの食事ならまだ分かるが、なんで俺まで? 昔と変わらず藤咲は何を考えているのか分からない。 藤咲は俺のことが嫌いなはずなのに……。 当時はそれが魅力的に感じていたけど今となっては渉太に恐怖心を植え付けていた。 「みたいだね。さっき彼から教えてもらったよ」 律仁さんの表情はあくまで画面上でみるような表面上の笑顔だったが、繋がれた手から苛立ちが伝わるくらい力が入っていった。 「お、俺は結構です。お二人の邪魔をするわけにはいかないので………」 こんな律仁さんに我慢させるような真似させたくない。自分で打開しなきゃと渉太は繋がれた手を離しては、全力で誘いを断る。 藤咲と律仁さんと三人で食事なんて…律仁さんが居たとしても怖くて出来ない。 「邪魔なわけないよ。僕は久しぶりに渉太と話したいなー」 「渉太、無理しなくていいよ。尚弥くん、 彼ちょっと体調が優れないみたいだから俺だけでもいいかな?」 全てを悟ってくれている律仁さんが助け船を出してくれてホッとしたのは束の間「浅倉さん、僕は渉太に聞いてるんですよ。渉太くるよね?」と俺に意見を求めてくる藤咲に緊張感が増す。 それでも律仁さんは「いくら知り合いでも無理には良くないんじゃないかな」と自分を擁護してくれたが、藤咲はそんな律仁さんの言葉に聞く耳を持たずに俺だけを見据えてくる。 「ねぇ冷たいこと言わないで渉太。僕達友達だったじゃん?」 友達……なんて便利な言葉なんだろう。 藤咲は恋人以前に友達とすら思っていなかったくせに……。 俺の返事を待っている視線が辛くて、その場から逃げ出したくなる。 どうやって切り抜ければいいんだろか……。 今にも殴りかかりそうなくらい拳を握って感情を堪えている律仁さん。 この中で一番優位な位置にあるのは圧倒的に藤咲だった。 仕事のこともあるし、律仁さんに迷惑を掛けられない……。 怒りを鎮めながらも心配そうに俺を見つめてくる律仁さんの奥で刺すような視線と圧を掛けてくる藤咲。 「俺も…二人の邪魔じゃ無ければ……」 渉太はそんな藤咲に負けて頷かざるおえなかった。

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