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静かな夜の公園、水の音と共に程よく涼しい風を感じたかと思えば噴水前まで辿り着いていた。噴水周りの明かりに照らされながらも流れる水は綺麗だった。 律仁さんに促さられ、噴水周りに広がる浅めの階段を数段降りては腰をかけると一息ついた。 「やっぱり、渉太は俺のコンサート来たことなかったんだね」 「……すみません。勇気がなくて……」 「そういう意味で言ったんじゃないから気にしないで」 立ち止まって噴水を眺めているとそう問いかけてきた律仁さん。咎めるわけで言った訳では無いと分かっていても、微笑んだ顔が何処か寂しそうで、今まで律を観に行かなかったことが悔やまれた。 「渉太のファンレターにさ、友達と行く予定だって書いてくれてから、来なくなったからさ……」 律仁さんに告白したときに抱き締められた腕の中で、ファンレターをパタリと止めた俺を気にしていたことを話してくれていたのを思い出す。 男一人で女性客の中に入る勇気はなかったのもあるし、1人じゃ心細いから勇気を出して誘ったこともあったけど、結局叶わずじまいに終わった約束。純粋に律を見ることが苦しかったあの頃。 「あれは……藤咲くんと行く約束してたんです」 律仁さんだから正直に話すべきだと思った。 やっぱり藤咲の話をするだけで手に汗握って心拍数があがる。 「だけど藤咲くんは俺となんて嫌だったみたいで……チケットは取れてたけど、こじれてから、俺も行けるような気持ちにならなくて……」 あまり重たくならないように、自虐的に笑顔を装って話をしてみるが、律仁さんは深刻な顔をして頷いては、話を聞いていた。

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