260 / 295
大晦日の特番と律仁さん⑰※※
お互いにシャワーで浴室の壁と身体を流して、お湯の張った湯船に律仁さんと一緒に浸かる。
散々あんなことをしておいて今更ではあるが、冷静になるとやっぱり恥ずかしくて、渉太は顔をお湯に埋めるように彼と向かい合って浸かっていた。
乳白色で柑橘系の香りが漂う入浴剤は一日の疲れを癒すために律仁さんが選んだもの。
顔の下半分まで浸かりながら、浴槽の縁に腕をのせて寛ぐ律仁さんの姿を眺める。
水を額に滴らせながら、前髪をかき上げたオールバックの髪型は整った顔立ちがより一層際立つ。どちらも本人なのだから当たり前ではるけど、律のときも律仁さんのときも、彼の色気のある格好良さは変わらなかった。
眼鏡をかけてないとアイドルの律のまんまの姿だし、渉太のドキドキをかっさらっていく律仁さんは本当に狡いと思う。
「律仁さん……。あんな声で囁くのは狡いです。俺、曲の時ですら律仁さんの溜息はヤバいのに、最中にされたら俺、どうかなっちゃいます」
「それ、煽ってる?」
水面が揺れ、律仁さんがこちらに来る気配がしたので首を左右に振って否定する。
別に煽っているわけじゃなくて、するたびにあんなことをされたら、我慢が出来なくなる程いくら体があっても体力が持たなくて、最後までしてあげられない。
渉太は思いの外へばっている自分の体力のなさと余裕のなさに撃沈していた。
すると近寄ってきた律仁さんの両腿の間に収まる体勢になり、顔をじっと覗き込まれると濡れた前髪を梳き撫でられる。
「反則って言われても、俺だって渉太と触れ合ってると気持ちよくて声でちゃうんだけど?渉太だって気持ちよかったでしょ?初めての素股、渉太エロかったもんね。俺の指咥えて」
「え、エロかったってそれは律仁さんが、煽ってきたからじゃないですか」
思い出すのが恥ずかしいほど、自分は律仁さんの指を夢中で咥えていた。
ともだちにシェアしよう!