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大晦日の特番と律仁さん⑱※※

だからって揶揄わなくたっていいじゃん·····なんて思いながら、怒りを込めて湯船の水を律仁さんに向かってかけると、律仁さんは「ごめんごめん」と笑って顔にかかった水を掌で拭う。 「でも、結局最後までできなかったから、俺なりに凹んでるんですよ·····」 渉太は膝を抱えて俯く。最中に解すことは出来たけど、余りにも俺の穴が小さすぎて律仁さんは挿入れるのを断念したから、素股になったのだろう。 受け入れる気満々だったし、律仁さんも挿入れたがっていた気がしたから申し訳なかった。 「へ?これで終わりだと思ってる?」  律仁さんはきょとん顔をして首を傾げる。 「え、今日はもう終わりじゃないんですか?」 「終わらせないよ?今夜は寝かすつもりはないけど?」  何だか耳覚えのあるセリフに胸がキュンっとなる。律のラジオの冒頭はいつも甘い言葉の囁きから始まるのでその影響だろう。 浴室で声が響き渡るのも相まって、ラジオの声を生で聴いているようで、(実際は生ではあるんだけど……)嬉しいような恥ずかしいような気分になる。 「ね、寝かすつもりないって·····。俺そんなに体力持たないです」 数時間前までテレビの仕事をこなしてきた人とは思えない程、体力お化けに圧倒されながらも、筋肉のかけらもない弛んだお腹の持ち主である渉太には、あんなのを夜通しできるわけがない。 赤面しながら必死に訴えていると律仁さんは、天を仰いで大笑いし始めた。 「冗談だよ。最初に言ったでしょ?無理はさせないって。でも、まだまだ渉太を愛し足りないから俺に付き合ってね?上がったらベッドでゆっくり愛し合わせて」 髪を梳きあげられた手のまま、額にキスをされ、渉太は収まらないドキドキを隠すように湯船に深く肩をつけて縮こまった。  長くなりそうな夜に期待と羞恥を織り交ぜながらも……。

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