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――とある学園に転校生がやってきた。彼は良くて天真爛漫、悪くて自己中心的とも言える性格で生徒会役員たちを虜にし、そして腑抜けにした。
今日も今日とて転校生は役員たちを引き連れ、食堂で食事をしている。
「うめぇ!やっぱ食堂のメシって美味いな!!」
口元を汚して喋りながら食べる光景はとても綺麗とは言い難い。しかし役員たちはそれを微笑ましく見守っていた。
転校生がおかしいだなんてそこにいる役員たちは誰も気づかない。転校生が次の一口を運ぼうとした瞬間、それは起こった。
ガシャーンッ!
「うわっ!?」
突如物凄い音を立てて何かが転校生の食事していたテーブルに落ちてくる。その大きさと呻き声、そして動いていることから、それは人間であることが窺えた。
「いったい何だよ!誰だお前!」
転校生が落ちてきた人間に近寄り、役員たちもその後をついていく。
「食堂の天井から人が降ってくるなんて…どういうことですか?」
「不思議だねぇ~」
「ふし、ぎ」
「オイ。テメェ何者だ?って…」
「っ…てぇな…」
起き上がった人物を見て、食堂にいた人々が騒然とした。
起き上がった彼は髪や瞳、制服の色こそ違うものの、我が学園の生徒会長に瓜二つだったのだから。
「か、会長が二人!?どういうことだよこれ!!」
普通の人よりも大きな声で喋る転校生に気づき、男は此方を向いて目を細める。
「あ?つか何で俺食堂にいんだよ、確か外の見回りしてたっつうのに…相変わらずテメェは迷惑しかかけねぇなクソマリモ」
「ま、マリモ!?そんなこと言うなんて最低だ!謝れよ!!」
「何でこの俺様がテメェみてぇなドジばっかする奴に謝らなきゃなんねぇんだよ。寧ろテメェがそこに手ぇついて日頃の愚行を詫びろや」
「~っ!会長っコイツ誰だよ!会長とおんなじ顔とか会長って双子だったっつうこと!?何で教えてくれなかったんだよっ最低だぞ!」
男に言い負かされて転校生はかっと頬を染めた。副会長たちは一斉に会長へと目を向ける。
「僕も貴方に双子の兄弟がいただなんて聞いたことありませんが…」
「俺もないなぁー」
「俺、も…」
役員たちの言葉に会長は嫌悪感を丸出しにし、苦々しい表情をした。
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