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「いるワケねぇだろ。つか天井から降ってくる兄弟なんて死んでも欲しくねぇ」 「あ゙ぁ゙?俺に俺の悪口言われるとは心外だな、って……俺?」 「今更かよ!」 会長をじっと見た後に役員と転校生へ目線を移すと、男は急に真面目な顔をして何事か思案し始める。それから徐に顔を上げて転校生を見ると口を開いた。 「おい、クソマリモ」 「またマリモって言ったな!俺には明日那(あすな)って名前があるんだ!何なんだよお前!?」 「明日那、か…やっぱりな」 口の中で何か呟いていたかと思えば、男は何かに納得したような顔で転校生を指差した。 「お前は俺の知ってるクソマリモじゃねぇ」 宙に浮いた指は次に副会長、書記、会計へと移っていく。 「お前も、お前らもだ」 そしてその指は会長を差して止まった。 「お前は、もう一人の俺」 合点がいったようにうんうんと頷く男は呑気な表情で「まぁ、楽しむか」と一人ごちる。 そんな彼とは反対に、食堂は未だ混乱に包まれたままだ。その混乱を気にしていないのか、会計は質問をする生徒のように手を挙げて言った。 「ていうかさぁ~?何で天井から降ってきた会長はうちの制服の色違い着てんのぉ?」 「これがうちの制服だからに決まってんだろ」 「へぇー!おもしろーい!」 突然現れた異端の存在である彼を意に介さない会計に、頭の痛くなる思いで会長は口元を引きつらせながら口を開く。 「…オイ、何打ち解けてんだ」 会計とは反対に会長は男への嫌悪感を崩さない。そんな彼を見て男は小馬鹿にするように笑った。 「んだよ、こっちの俺は随分堅物だなぁ?もっと脳みそ柔らかくしねぇとモテねぇぜ?」 「あ゙ぁ!?言わせておけばッ…!ちょっと面貸せ!ぶっ潰す!!」 「上等だコラ!返り討ちにしてやるよ!!」 鼻面を突き合わせてお互い睨み合いながら二人は食堂から出ていく。 「あっ!会長たち何処行くんだよ!?」 「…行ってしまいましたね」 「結局あの人誰なんだろうねぇ~?」 「分から、ない…」 二人のいがみ合う声は、食堂を出てもしばらく聞こえていた。この時戸惑う役員の気持ちは、食堂の生徒たちと同調していたに違いない。

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