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第二章・6
「パジャマ、ありがとう」
「お前の服は、洗濯しておいたぞ」
きちんとたたまれた悠の服が、ソファに置いてあった。
それから。
「それから、代金だ」
渡された封筒は、ずしりと重い。
「え?」
悠は目を瞬かせて、中身を見た。
そこには、一万円札の束が!
「こ、これ! 多すぎるよ!?」
「お前が提示した額だぞ」
悠は、人差し指を立てた。
「一万円」
「百万円じゃなかったのか」
人差し指を曲げ、悠は頬を掻いた。
(どういう金銭感覚?)
だが慎也は相変わらずの無表情のまま、取っておけ、と言った。
「お前には、それだけの価値があった」
「僕、百万円の男?」
悠はにやりと笑って見せた。
「うぬぼれるな。お前は私の初恋の人に、似ていた。それだけだ」
「うわぁ……」
何て、ロマンチック!
悠の頬は、赤みを帯びた。
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